前回、俺は 「対象」=「目的語 」という書き方をしたが、タガログ語で「対象」とは、実は目的語だけでなく、「方向」も含んでいると言うべきだと思った(ここで言う「方向」とは、例えば”Pupunta ako sa Manila”(私はマニラに行く)のsa句である。)。「対象」=「目的語」ではなく、 「対象」=「目的語」と「方向」という風に言い換えた方がより正確になり、説明がしやすい。
フィリピンのクリスマスは「パスコ」と呼ばれますが、”pascua”は他の国では「イースター」の意味で使われると、昔、「なんでパスコがクリスマスなのか」という記事で書きました。その中で、少なくとも中南米では”pascua”はキリストの「生誕」を意味し、クリスマスも含まれるということを書きました。たとえば”Pan de pascua”はチリのクリスマスに食べられる特別なパンです。
話がそれましたが、フィリピンのクリスマスで特徴的なものの紹介の最後は、「ノベナ」です。クリスマスから数えて9日前から早朝に行われるミサで、フィリピン特有と言われています。タガログ語では「シンバン・ガビ(simbang gabi)=夜のミサ」です。スペインなどでは深夜に行うのですが、フィリピンでは早朝だ、というところがフィリピン特有なのでしょう。ちなみにどちらもスペイン語では「雄鶏のミサ(misa de gallo)」という名がついています。
2) 「小辞と代名詞の二番目ルール」
私は、「小辞と代名詞の二番目ルール」と読んでいます。説明すると複雑になってしまいますが、てっとり早く言えばとにかくこのふたつは2番目に来たがる。どんな時にかというと、HindiとかPwedeとかdito, sa ….とか、とにかくなんかが前についたとき。2番目に来る「代名詞と小辞」とは、ようするに次の文から”kumusta”を除いたふたつのこと。
これは型として覚えておかないと、苦労するかもしれません。ようは、日本語で「誰が私の魚を食べたんですか?」または英語で”Who ate my fish?”からタガログ語文をイメージするとしたら、この結論にはたどり着けないだろう、ということです。さきほど日本語訳として書いた分裂文の「私の魚を食べたのは誰ですか?」、英語だったら(不自然かもしれませんが)”Who is the one who ate my fish?”からタガログ語文を導き出す、と理解しておいたらよいでしょう。