2月2日の朝日新聞に「音のない世界に生きて」と題した早瀬憲太郎さんのインタビュー記事が掲載され、冒頭から
手話を言語として認める「手話言語法」の制定を求める機運が高まっている
と始まっている。まさかミスリードを狙ったわけではないだろうが、「手話はひとつ」と思わせる原因になりかねない。そもそも、法律で改めて手話を言語として認める必要などなく、日本において必要ありそうなのは「日本手話を日本の国語のひとつに」ということだけである。
手話に関する思い込み
「手話」は一般的に思われているのと実態が違うのでいちいち説明しないと始まらない。まず、身振りは「ジェスチャー」と「手話」に区され、「手話(sign language)」は文法があり、抽象的概念を表せるもののみを言う。次に、手話は世界中でわりとバラバラで、日本国内では音声言語である日本語とは系統的に別モノである「日本手話」が、ろう者の間で一般的に使われている。
ただし、音声言語である日本語の文法に手話単語を当てはめた「日本語対応手話(シムコム)」というものもあり、これが話をややこしくする。日本語対応手話は、言ってみればピジン言語のようなもので、そのネイティブ話者はいない(対応手話は中途失聴者に好まれるとされる)。具体的な差は「日本手話と日本語対応手話(手指日本語)」木村晴美(2011)に詳しいが、素人でも簡単に対応手話は見分けられる。話者が「非手指動作(NMS, non-manual signals)」と呼ばれる顔の表情変化などを文法的に使っているようなら、それは対応手話ではなく、(日本)手話である。
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そして新しく日本手話を勉強する人にとって面倒なのは、自治体主導の行事の手話通訳などは、日本語対応手話の場合が多く、社会福祉協議会のやっている「手話教室」や、「手話サークル」で教えるのも、大半が日本語対応手話ということ。ようは、日本手話へのアクセスは意外と難しいということ。
教室リスト
ではようやく表題。東京でのリストはNPO法人手話教師センターで見ることができる。
おそらく地方では日本手話教室を探すのはまだまだ難しいのではないかと思われる。ちなみに上のリストに載っているソフトバンクCSRの教室は大阪もある。講座料金はパッと見る限り、1時間当たりにすると1000円から2000円の間ぐらい。大半が平日のようなのがちょっと残念ではある。
自宅で予習として独学するには、最近は書籍がいくつも出ているが、動画なら無料。個人的には、手話を学ぶなら動画で学ぶ方が絶対に良いと思う。たとえば以下のページは書籍版「日本手話の仕組み練習帳DVD」に対応している↓
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