国立ミンダナオ大学爆破テロの犯人とみられる人物が軍により殺害された件

去る2023年12月3日に、マラウィ市の国立ミンダナオ大学ラナオ校で起きた爆破テロの犯人とみられるダウラーイスラミヤ-マウテグループ(DI-MG)の人物が、1月25日に南ラナオ州のピアガポというところであった軍との戦闘で死亡した。

この戦闘では全部で9名のダウラーイスラミヤ-マウテグループ(DI-MG)のメンバーが殺害された。

参考記事(英語):

https://news.abs-cbn.com/news/01/27/24/9-suspected-dawlah-islamiyah-maute-group-members-killed-in-lanao-del-sur

https://abcnews.go.com/International/wireStory/philippine-troops-kill-9-suspected-muslim-militants-including-106730015

マラウィの国立ミンダナオ大学でミサ中に爆破テロ

2023年12月3日午前中、ミンダナオ中部のラナオ・デル・スル州のマラウィにて、国立ミンダナオ大学ラナオ校の体育館でキリスト教のミサ中に爆破テロがあり少なくとも4名が死亡、50名が負傷した。

今回は日本のニュースでも取り上げられているので、日本語で読めるソースも多い。

(参照記事↓)

https://jp.reuters.com/economy/66ADVJHRYNLQJB3SLHFZFPZ4SU-2023-12-03/

この事件に先立って、国軍はイスラム過激派への作戦を展開しており、イスラム国に忠誠を誓ったマウテ・グループ(DI-MG = Dawlah Islamiya-Maute group)のリーダーを殺害していたとのこと。今回のテロはその報復と考えられるそうだ。時系列はちょっとよくわからないものの、たしかに別記事では12月3日にサブリーダーの一人アランドニ・マカダヤ・ルクサダトゥ(Alandoni Macadaya Lucsadatu)が作戦により殺害されたとある。

(参照記事(英語)↓)

https://asia.nikkei.com/Spotlight/Society/Islamic-State-claims-responsibility-for-deadly-Philippine-bombing

https://www.sunstar.com.ph/zamboanga/dawlah-islamiya-leader-killed-in-clash

なお、マラウィは2017年にマラウィ危機(日本語版ウィキペディアでは「マラウィの戦い」)があった場所。現在でも上記グループが潜伏していたり、治安が悪い印象。バンサモロ自治地域を構成する州のひとつ。

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現代フィリピンの地殻変動:新自由主義の深化・政治制度の近代化・親密性の歪み

Windows10でEvernoteが開けなくなったのでレガシー版にしたら快適になった

ここ数か月ほど、Windows10で使っているEvernoteを開くたびにエラーが出て、それでも無視して使っていたのだけれども、今日ついにアプリが立ち上がらなくなってしまった。

そこでこのエラーについてググってみたところ、どうやら一旦アンインストールして最新版をインストールし直せば動くようになるらしかった。

続けて検索していると、さらに良い情報が見つかった。「レガシー版」という安定版があり、それなら正常に動作するだけでなく、ひと昔前の操作性に戻れるという。

試しにやってみたけど、Evernoteってそういえば使いやすかったな、と導入時のことを思い出しました。おすすめです。

レガシー版の入手そのほかの詳しいことは下のブログを参照↓

https://makito-tax.com/evernote-legacy/

サンボアンガからホロに向かったフェリーが炎上した件

去る3月30日、サンボアンガ港からホロに向かったフェリーが途中で火事になり、最大31人が死亡した。「最大」というのは、ニュースが出た時点ですべての遺体が回収できていなかったからと思われる。

フェリーには約200人の乗客と30人以上の乗組員が乗っていたという。下の英文のニュースからは、死亡したのがすべて乗客だったのかは読み取れないが、全員じゃないにせよ大半は乗客だろう。

(英語記事↓)


参照1 gulfnews
参照2 skynews

このニュースを読んで気になることには、救出された乗客のうち、乗客リストに載っていない者もいたとのこと。いまだにそんな管理体制なのか。。

備忘録:ピジン・クレオル諸語の世界


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語学の天才まで1億光年

「語学の天才まで1億光年」高野秀行(2022)を読んでいたら、一ヶ所チャバカノ語についてちらっと言及があり、出典として以下の本が紹介されていた。


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ピジン・クレオル諸語の世界:ことばとことばが出合うとき

「ピジン・クレオル諸語の世界」西江雅之(2020)

読んでみたところ、実は「チャバカノ語」という文字列はどこにもなかった。一方、P74に「テルナテーニョ」については言及があったので、高野氏が「テルナテーニョ」を「チャバカノ語」に読み替えて自身の上記著作で紹介したということがわかった。ちなみに西江氏がなぜ「チャバカノ語」と呼ばずに「テルナテーニョ」だけを名指ししたのかは不明だ。

もしかしたら、チャバカノ語の源流が「テルナテーニョ」だ、と言いたかったのかも。

それは状況的には有力で、マルク諸島(モルッカ諸島)のテルナテ島の王族一行がフィリピンに連れてこられてカビテにテルナテという地名の場所ができたということで、その王族一行が何十年もポルトガル人と接していたことから、ポルトガル語系ピジンなりクレオールを話せたと考えるのは理にかなっている。

参考:当ブログ内記事 ガレオン貿易時代のマニラにおけるテルナテ人

マニラで、アブサヤフの元リーダー格が脱獄を試みて殺害された件

去る10月9日の早朝、メトロマニラのケソン市にあるキャンプ・クラメに収監されていたアブサヤフの元リーダー格、通称Indang Susukanと、同じくテロリスト(ダウラー・イスラミヤのメンバーとみられる)2名が脱獄を試みたが失敗し、3人とも殺害された。

この事件、3人は朝食を運びに来た看守をめった刺しにし、施設内を逃走し始めたが、先に2名が射殺され、残った1名はたまたま同施設に収監されている元上院議員レイラ・デ・リマを人質にとったためにフィリピンでは一面を飾るニュースとなった。その1名も結局射殺され、元上院議員は無傷だったそう。

なお、Indang Susukanは身代金目的の複数の拉致事件を率いたとして服役中だった。彼は2020年にダバオ市で身柄を拘束されたが、その前に国軍との戦闘で片腕を失い、先にMNLFのヌル・ミスアリ(2013年のサンボアンガ危機の首謀者)のもとに身をゆだねていたとのこと。

参考記事(英語)↓

https://www.asahi.com/ajw/articles/14738797

https://news.tv5.com.ph/national/read/crame-incident-police-kill-three-men-who-tried-to-escape-hold-ex-senator-hostage

古いノートパソコンのWindows10をChrome OS Flexに入れ替えた:メリット・デメリット

4年ほど前にアマゾンのセールで買ったAsusのW203Mというモデルのネットブック、youtubeを観たりちょっと事務作業をするぐらいの用途には当初、軽量で動作も早くて良かったのだが、いかんせんハードディスクの容量が少なく64GBしかない。そのためここ2,3年ぐらいは他のアプリを全部消してもWindows 10のアップデートすらダウンロードできず、zoomもまともに使えなくなってしまい困っていた。

自分なりにネットで調べてみたが、どうやらこの機種はハードディスクを入れ替えることができないようで、ハードディスクを増やせないのなら思い切ってWindows 10を止め、64GBで使えるOSを入れるしか選択肢がない、という結論に至った。

ネットで調べたところ、パソコンに大して詳しくなくても無料でOSを入れ替える方法としては、Ubuntuか、または最近リリースされたグーグルのChrome OS Flexがやりやすいと思われた。俺はUbuntuは昔一度入れてみた経験があるので、今回はChrome OS Flexに挑戦してみることにした。



Chrome OS Flexを入れる方法はグーグルで検索すればすぐわかるので、ここでは実際に入れた後に感じたメリット・デメリットをいくつか書いてみる。

まずはメリット。インストール作業は簡単で、はじめはお試しとしてUSBメモリ(フラッシュメモリ)から起動できるので、実際に使ってみてからOSを入れ替えるか決めることができ、良いと思う。使ってみたところ、期待通り動作は早く、また音声も問題なく出たので安心して入れ替えることができた。

(ちなみに、M203AのBIOSの起動は、「F2」を押しっぱなしにしたまま電源を入れればよい。)

また、音楽や動画を再生したり、PDFを開いたりといった基本的なことも問題なし。zoomも使えたし、とりあえず満足。

一方、デメリットについて、やはりオフィスのアプリがないのは不便。グーグルドライブ上でワードやエクセルファイルの閲覧や編集はなんとなくはできるものの、レイアウトが崩れたりするので使う気にはならない。(ただし、もともとグーグルドキュメントやスプレッドシートで作ってあるデータなら何の問題もないので、そういうファイルのやり取りだったり、自分用としては問題ない。)

それとは別に、意外と不便なのは、電池残量が少なくなっても表示されないこと。対策としては、ブラウザに電池残量が一定以上減ったらアラームを鳴らすアドオンを入れることができるが、探したりするのが面倒くさい上に、ブラウザを開いてなければアラームも鳴らないので、問題は完全には解決しない。

というわけで、若干の不便さはあるものの、ネットブックが一台また普通に使えるようになったのは嬉しい。おすすめです(作業前に、個人的なデータはどこかに移して保管しておくのを忘れずに!)。

ちなみに今回、Chrome OS Flexをインストールするのに、実質の容量が8GB弱のフラッシュメモリを使ったが全く問題なかった。

現カガヤン・デ・オロ市長の長男を暗殺したとされる容疑者が捕まった件

2021年11月に、当時カガヤン・デ・オロ選出下院議員で、現カガヤン・デ・オロ市長であるRonald Uyの長男が暗殺された件で、容疑者が去る7月30日に逮捕された。

容疑者は元新人民軍(共産ゲリラ)メンバーで、70年代には同組織の暗殺部隊として活動していたという。

(参考記事(英語)↓)

https://www.manilatimes.net/2022/08/02/news/regions/suspect-in-cdo-mayors-son-death-arrested-in-lanao/1853103

元ラミタン市長を殺害した犯人の父親が事件5日後に何者かに殺された件

7月24日にマニラのアテネオ大の卒業式に来ていた元ラミタン市長が、同郷出身の単独犯に撃たれて亡くなった(参照)が、その5日である7月29日に、今度は犯人の父親が撃たれて亡くなった。

(参考記事(英語)↓)

https://www.manilatimes.net/2022/07/30/news/national/father-of-ateneo-gunman-killed-in-basilan/1852695

撃ったのは2人組だというが、捕まっていない。どう見ても報復で、まずは家族から、というのが

マフィア的というか、当地のイスラム教徒流というか。。

なお、記事によると撃たれて数時間後に親族により埋葬されたという。それも普通じゃない。

マニラのアテネオ大で元バシラン州ラミタン市長が殺害された件

昨日7月24日に、アテネオ・デ・マニラの卒業式で、銃を持った男が発砲し、ついこの前までバシラン州ラミタン市長だったロシータ・フリガイ(Rosita Furigay)とその側近、学校の警備員の計3名が殺害され、他2人が負傷した事件が起きた。犯人はその場で取り押さえられた。殺害された元ラミタン市長は、娘の卒業式を見届けるためにその場に来ていた。

(参考記事↓)

https://news.ntv.co.jp/category/international/a4b12627c33e41a3892064d01fb49902

上の日本語記事には詳細が全然書かれていないが、次の英語記事を読むとこの犯人は同じラミタン出身の医師チャオ・ティアオ・ユムル(Chao-Tiao Yumol)であり、彼は元市長から76件のオンライン名誉毀損(SNSなどで名誉を棄損する罪)で訴えられており、この医師の方も元市長を(何の件でかは明記されていないが)訴えていたという。というのも、この医師は元市長が当地で違法薬物取引をのさばらせていたことに対して憤慨していた。直接的には、当地で自身のクリニックを運営するのを妨害されたりしていたのが今回の事件の引き金らしい。

(参考記事(英語)↓)

https://www.pna.gov.ph/articles/1179647

https://www.gmanetwork.com/news/topstories/nation/839220/suspect-in-ateneo-shooting-had-personal-quarrel-with-ex-lamitan-mayor-qcpd/story/

ちなみにラミタンはアブ・サヤフ関連のニュースでもよく耳にする地名で、相当に厄介な土地なんだろうなという印象。市政が始まる前の2004年からロシータの夫であるロデリック・フリガイ(Roderick Furigay)が長年仕切ってきて、妻ロシータに2013-2022年まで引継ぎ、そして彼は今年また返り咲いたところだ。地元では彼らは超強力に違いない。

(参考記事(英語)↓)

さて、ここからはニュース記事をもとにした話ではないのだが、知人のフィリピン人から話を聞く限り、どうもこの医師は前からこの元市長に命を狙われていて、何度か殺されかけたことがあり、政府に助けを求めても何もしてもらえないのでやられる前に自分から殺しに行った、ということのようだ。おそらく彼は残念ながらこれから刑務所に入っている間に消されてしまうのだろうが、それでも窮鼠猫を噛む的にやれるだけのことはやった、ということなんだと思う。

今回の件、もしかしたら、先日の安倍元首相の暗殺事件にインスパイアされた模倣犯だったりして、という気がしないでもない。