元ラミタン市長を殺害した犯人の父親が事件5日後に何者かに殺された件

7月24日にマニラのアテネオ大の卒業式に来ていた元ラミタン市長が、同郷出身の単独犯に撃たれて亡くなった(参照)が、その5日である7月29日に、今度は犯人の父親が撃たれて亡くなった。

(参考記事(英語)↓)

https://www.manilatimes.net/2022/07/30/news/national/father-of-ateneo-gunman-killed-in-basilan/1852695

撃ったのは2人組だというが、捕まっていない。どう見ても報復で、まずは家族から、というのが

マフィア的というか、当地のイスラム教徒流というか。。

なお、記事によると撃たれて数時間後に親族により埋葬されたという。それも普通じゃない。

アブサヤフの幹部がバシラン州で殺害された件

去る3月26日に、アブサヤフのバシラン州におけるサブ・リーダーの一人、ラズミル・「アブ・クバイブ」・ジャンナトゥル(Razmil “Abu Khubayb” Jannatul)とみられる幹部が、バシラン州スミシプ(Sumisip)町での国軍の作戦によって殺害された。

(参考:英語記事↓)

https://www.pna.gov.ph/articles/1170713

同記事によれば、国軍は一方で、別のサブ・リーダーであるバサロン・アロク(Basaron Arok)の一味とのスールーでの戦闘の後、武器などを回収したとのこと。

サンボアンガ市内でアブサヤフ幹部など4名が逮捕された件

去る10月11日と12日に、2009年の人質拉致および殺害事件に関与したとして指名手配中だったHassan Anang Mohammadほか3名がサンボアンガ市内で逮捕された。

参考英語記事↓

https://www.cnn.ph/regional/2020/10/12/Abu-Sayyaf-members-Zamboanga-City.html

現場はサンボアンガ市内のキャンプ・イスラム近くにあるLower Calarianというバランガイ。逮捕されたうちの一人は現役の港湾警備隊員ということで、やはり当局に協力者がいることでテロリストがサンボアンガ市内に入れるようになっているようだ。

ところで、先週はアブサヤフ関連で言えば、バシラン州にある刑務所から受刑者が8名脱走した事件があり、その中にアブサヤフのメンバーもいたとのこと。

参考英語記事↓

アブサヤフのメンバーであり受刑者のLahamanという男性が、受刑者なのになぜか銃を持っており、それを使って警備員を殺害し正面ゲートから逃走したという。

その後、1名は警察によって殺害され、もう1名は負傷させ身柄を確保した。しかしながら、14日の時点で6名は逃走中とのこと。

実は(少なくともこの地方での)脱走事件はそう珍しくなく、ちょっと検索しただけでも2件は記事は出てきた。せっかく捕まえても逃げられてしまうのであればアブサヤフ解体はそりゃこれまで難しかったわけだ、と思ってしまった。

https://www.voanews.com/east-asia/abu-sayyaf-suspected-philippines-abductions-jailbreak

アブサヤフがバシラン州の村を襲撃

去る8月21日になるが、アブサヤフの一団がスールー諸島の手前にあるバシラン州(サンボアンガの向かいにある島)の村で行われる祭りを狙って襲撃を行い、村人9人が死亡、10人が負傷した。下のリンク先の英語記事にはビデオもついている。

(英語記事)
http://www.rappler.com/nation/179451-basilan-abu-sayyaf-attack-civilians-dead

同記事によれば、この襲撃はアブサヤフの他の戦線から軍の注意をそらすための作戦とみられる、とのこと。

そんな理由で襲撃を受ける方はたまったものではない。近年、バシランやスールー諸島からサンボアンガをはじめとする他州への移民が進んでいるのは、このような治安の悪化が背景にあるのは間違いない。ちなみにサンボアンガはものすごい勢いで人口が増えており、既に人口は100万人を超えているとみられる(この人口は、ミンダナオではダバオに次いで二位)。それだけでなく、サンボアンガ市民のムスリム比率が急激に増えているのも注目される。

このことが市内で使われる言語にも影響が大きな影響を与えているのは言うまでもなく、おそらく特にタウスグ語話者が増えているのだろうが、バシランやスールー諸島の人々は他にもヤカンやバジャウなどいろいろな民族がある。多言語ウォッチャーの私としては、サンボアンガ市内(特にダウンタウン)の小学校などがどうなっているのかも非常に気になる。

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7月15日に拉致されたフィリピン4名のうち最後の人1名も救出された

アブサヤフに拉致されたフィリピン人3名が逃走し救出された件の続き。7月15日に拉致されたフィリピン人4名のうち、残っていた最後の一名も8月14日に国軍によってバシランで救出された。

(英語記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/08/14/Abu-Sayyaf-hostage-Basilan-rescue.html

この事件は、サンボアンガ市在住の6名のフィリピン人の建設労働者が、7月15日にスールーのパティクルでアブサヤフによって拉致されたもの。うち2名は同日国軍によって救出され、3名は8月11日に逃走に成功し国軍に救出されていた。

(英語記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/07/16/Suspected-Abu-Sayyaf-kidnap-four-workers-in-Sulu.html

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アブサヤフが拉致したフィリピン人7名を殺害した件

最近、アブサヤフによる拉致事件は起きてないと思っていたが、俺の情報収集が甘かっただけだと気づいた。

7月20日に、バシランのマルソ町で7名のフィリピン人木材伐採を生業とする者が拉致され、そして同月30日に遺体が同じくバシランの山中Lantawanで発見された。

(英語記事)
http://www.philstar.com/nation/2017/07/31/1723256/bodies-7-loggers-beheaded-abu-sayyaf-recovered
http://www.rappler.com/nation/177281-abu-sayyaf-beheading-loggers-basilan

上の2紙によれば、拉致された後に殺されたと書かれている。身代金目的ではないようだ。

拉致されたのか海上か陸上かは記事から読み取れない。職業の表示を見る限り、おそらく陸上なのだと思われる。500人近いメンバーがマラウィの戦闘で掃討された今でも、以前としてバシラン以南が物騒なことに変わりはないようだ。。一体、メンバーはあとどのぐらい残っているのだろうか。

(追記:地元メディアでの報道で、拉致されたのはバシラン山中であることが分かった。かつ少なくとも2名はサンボアンガ市在住であることも確認した)

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アブサヤフに拉致されたベトナム人一名が脱出に成功

ここのところドゥテルテ政権によるテロ対策が派手すぎてニュースもなかなか追いきれないのだが、今日は久々にアブサヤフ拉致問題についてのアップデート記事を取り上げたい。

6月16日に、アブサヤフの拠点のひとつであるバシラン島に捕らわれていたベトナム人船員のうち一名が脱出に成功し、国軍に保護された。拉致されたのは2016年11月なので、実に7カ月もの間人質としてつかまっていたことになる。

(英文記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/06/17/ASG-Vietnamese-hostage-recovered.html

上のCNNの記事では、他に26名の人質がいるとされ、21名はスールー、5名はバシランで、バシランに残されているこの5名はベトナム人の同僚。もっと詳しく言うと、バシランにいるグループはアブサヤフ傘下の”Furudji Indama(フルジ・インダマ)”という名前だそう。

別のニュースによれば、6月17日には爆弾製造担当のメンバーがサンボアンガ市内で逮捕されている(といっても、サンボアンガはフィリピン国内でダバオの次に市域が広大で、現場は町はずれだが)。このメンバーは、インドネシアの過激派テロ組織「ジェマ・イスラミヤ」から爆弾製造の訓練を受けたのだという。

(英語記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/06/17/aide-aby-sayyaf-leader-isnilon-hapilon-arrest-zamboanga-city.html
http://news.abs-cbn.com/news/06/17/17/close-aide-of-hapilon-arrested-in-zamboanga-city

ここからは私見だが、報道を見ていると、国軍による空爆を含む攻勢によりアブサヤフはかなり弱体化しているように見える。

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アブサヤフが新たにベトナム人船員を拉致

毎週のように新しい人質が生まれているスール―諸島。今度はダバオに向かっていたベトナムのカーゴ船が11月11日にバシラン周辺で襲われた。

このうち6人が拉致されたという。

以下は、ロイターの記事を報じた英語版の朝日新聞。
http://www.asahi.com/ajw/articles/AJ201611110082.html

この記事によると、現時点で拉致されているのは他に16人とある。内訳は、

オランダ人 1名
ドイツ人 1名
マレーシア人 5名
インドネシア人 2名
フィリピン人 7名

例によって、日本人の伊藤敏雄はもはや数えられていない。