ミンダナオの戒厳令が年末まで延長になりそう

もうすぐ憲法上に規定された最長の期間である60日を迎える戒厳令について、憲法が認める国会の承認のもとでの延長が実現しそうな見通しだ。
なお、本件について採決が行われるのは22日(土)とのこと。

(英語記事)
http://manilastandard.net/news/top-stories/242268/-161-days-more-for-martial-law-.html
http://newsinfo.inquirer.net/915409/senate-united-on-martial-law-extension-split-over-duration

上記記事によれば、延長の理由はマラウィを襲ったテログループであるISが今後またミンダナオで事件を起こしかねない、ということ。

うがった見方をすれば、戒厳令延長のためにわざと掃討作戦をダラダラと続けているのでは、という風に見えないこともないがどうだろう。

一方で、フィリピン各地にいる麻薬戦争の当事者やらドゥテルテの政敵からすれば、大統領が対テロ作戦にリソースをつぎ込んでいる限りは自分たちが当面狙われなくなるため、テロ組織を応援したいという思惑がありそう。

「ミンダナオ」という縛りがある限りにおいては、お互い戒厳令の延長にはとりあえずは賛成なのかもしれない。

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ミンダナオではBIFFと国軍との戦闘によって2万4千人以上が避難している件

フィリピン国軍はIS系(と自称する)過激派組織”BIFF”(Bansamoro Islamic Freedom Fighters= バンサモロ自由戦士)との戦闘で空爆を行っている。

(英語記事)
http://news.abs-cbn.com/news/05/11/17/24000-villagers-flee-in-military-assault-on-islamic-state-allies-in-mindanao
http://www.manila-shimbun.com/category/english/news229976.html

一週間にわたる一連の攻撃により、コマンダー「ブンゴス」Commander Ismael Abubakar “Bungos”を含む31人のBIFFゲリラを殺害したと国軍は発表した。
BIFFと国軍との戦闘によってマギンダナオ州では2万4千人以上が避難している、とされる。

ちなみにこのような攻撃は今回だけではなく、3月にも報道されている。
http://www.mindanews.com/top-stories/2017/03/army-continues-attacks-on-suspected-biff-lairs/

BIFFは、2008年にMILFに不満を持つ分子が結成した過激派組織で、インドネシアのジェマ・イスラミヤなどの組織とも関係を保っているとされる。

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ミンダナオIS系武装勢力との戦闘で構成員37名を殺害

去る4月25日、南ラナオ州ピアガポ町での国軍とマウテグループとの一連の戦闘で、マウテグループ側勢力のうち37名を殺害したと発表があった。戦闘は22日から4日間続いた。マウテグループはISISに忠誠を誓っているミンダナオのテロリストグループのひとつで、南ラナオ州を拠点としている。殺された37名の身元は調べられているところだが、既に3名がインドネシア人、1名がマレーシア人であることがわかっていて、インドネシアのイスラム過激派「ジェマ・イスラミア」のメンバーであるとされる。また、民間人の負傷者はいなかったと報告された。

(英語記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/04/25/maute-jemaah-islamiyah-killed-lanao-clashes.html
http://news.mb.com.ph/2017/04/25/afp-4-foreigners-among-the-37-killed-in-firefight-vs-maute-group/

ピアガポ町はMILFのキャンプからわずか5kmのところで、マウテグループはこれまでMILFを隠れ蓑として使ってきたといわれる。

<本ブログ内の他のマウテグループ(maute group)関連の記事>
2017年
マレーシアのサバ州からIS組織戦闘員をミンダナオに送る計画を摘発
IS関連のテロ組織「アンサル・カリファ・フィリピン」のリーダー殺害

2016年
マニラのアメリカ大使館爆弾設置事件で、アンサル・カリファ・フィリピンのメンバーが逮捕
マウテグループから町役場を奪回、ミンダナオ南ラナオ州での戦闘

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マレーシアのサバ州からIS組織戦闘員をミンダナオに送る計画を摘発

去る1月23日、マレーシア当局は、ボルネオ島サバ州からフィリピン・ミンダナオ島にIS戦闘員を送り込む計画を発見したと発表した。
これは、1月13日と19日に行われた逮捕劇で、IS関連分子4名(フィリピン人男性(31)1名、バングラデシュ人男性(27,28)2名、マレーシア人女性(29)1名)を逮捕したことにより明らかになったという。このうちフィリピン人とマレーシアは、13日にクアラルンプール(KL)から飛行機でコタキナバルに到着したところを空港で逮捕されたという。一方、バングラデシュ人2名は19日にクアラルンプールで逮捕された。

(英語記事)
http://www.benarnews.org/english/news/malaysian/is-cell-01232017131917.html

送り出し先予定は、ミンダナオ島南ラナオ州のマラウィ市だったという。マレーシアのサバ州から、セレベス海を挟んだ向かい側にあるミンダナオ島まで、おそらく船で運ぶ計画だったのだろう。その界隈はアブサヤフが頻繁に海賊行為を行っていることでも知られている。

先の記事によれば、ミンダナオには、相互に関連しているISIS関連の組織が3つあるとされていて、文脈から私が判断するに、
Maute group
Ansar Khalia Philippines (AKP)
Al Harakat ul Islamiyah Basilan

と思われる。マレーシア、インドネシア、フィリピンのIS系テロ組織は中東とも連携して活動しており、2016年にはそれぞれのメンバーがyoutubeにも登場している。これらをまとめた英語記事が最近公開された。特にマウテグループの活動について詳しい。

(英語記事)
http://www.rappler.com/newsbreak/in-depth/159609-millennial-terrorism-isis-philippines

ここで登場したフィリピン人は、アンサル・カリファ・フィリピン(Ansar Khalia Philippines (AKP))メンバーのモハマド・レザ・キラムMohammad Reza Kiram(26)で、サンボアンガ市出身だという。

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