ボホール島にアブサヤフが侵入し撃退された件

4月11日、近年初めてアブサヤフがボホール島に現れ、警戒していた国軍および国家警察と衝突した。戦闘ではアブサヤフ側が10名中5名死亡し、政府側も4名死亡した。イナバンガ町という場所である。

AFP通信の日本語記事はこちら↓
http://www.afpbb.com/articles/-/3124771

英語ではもう少し詳細が載っていて、現場は観光客もよく訪れるエリアで、ボホール島の中心地であるタグビラランから北に71kmのところだという。

(英語記事)
http://cnnphilippines.com/news/2017/04/11/Abu-Sayyaf-firefight-Bohol.html
http://www.thenational.ae/world/southeast-asia/nine-killed-after-abu-sayyaf-militants-attack-philippine-tourist-island-bohol

アブサヤフの狙いはおそらく、2年前にダバオ向かいのサマル島リゾートで行ったように、金持ちそうな外国人を身代金目的で拉致することだったのだろうと思われる。このところサンボザンガ近辺は警備が厳しくなってきていること、聖週間でセブやボホールには(土地勘のない)旅行者が増えること、などを考慮しての選択だろう。

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比政府の認識しているアブサヤフの現人質数は31名

GMAニュースによれば、現防衛省長官であるロレンサナが去る3月9日に語った現状の人質数は、外国人24名、フィリピン人7名の計31名とのこと。政府が認識している人質の人数ということで、これまでの報道機関が報じていた数より信頼ができる。

http://www.gmanetwork.com/news/story/602710/news/nation/abu-sayyaf-hostages-nearly-double-during-duterte-admin-says-lorenzana

話の趣旨は、デュテルテ政権が発足した時点では18名だった人質が今では31名と増加している、というもの。

ではここで、内訳を改めて計算してみよう。私が報道を追っていて試算していた人数は、

オランダ人 1名
マレーシア人 5名
ベトナム人 13名
インドネシア人 7名
フィリピン人 5名

の31名だった。全体数こそ合っているものの、フィリピン人の数が2名足りず、外国人の数が2名多すぎることになる。
誤差が出た原因として可能性の高いのは、これまで「マレーシア人」または「インドネシア人」とカウントされていた人のうち2人が実はフィリピン国籍ということではないだろうか。
彼らはボルネオ島の中でもフィリピンに近いところで拉致されているため、どのみち民族的にはおそらく大した差はないだろうし、それに重国籍ということもありうる。

ところでもうひとつ上記からわかるのは、やはり日本人の伊藤は政府的にも人質としてカウントされていない、ということ。日本政府もきっと同じなんだろう。ただ、いつからそうなのかはネット上に記事が見つけられないのでわからない。少なくとも拉致された時点では日本政府も動いたと思うのだが。。

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アブサヤフが8歳の人質フィリピン人少年を解放

アブサヤフの人質になっていたドイツ人が斬首された件」で書いた通り、つい先日アブサヤフによって人質ドイツ人が殺されたばかりだが、また新しい動きがあった。

2月28日、7カ月の間人質になっていた8歳の少年が、約650万円の身代金と引き換えに解放された。

(英語記事)
http://www.sunstar.com.ph/davao/local-news/2017/03/01/abu-sayyaf-frees-8-year-old-hostage-after-7-months-528476
http://www.rappler.com/nation/162762-filipino-abu-sayyaf-hostage-freed
http://newsinfo.inquirer.net/876304/duterte-meets-8-year-old-boy-kidnapped-by-abu-sayyaf
http://www.gmanetwork.com/news/story/601365/news/nation/8-year-old-abu-sayyaf-kidnap-victim-released-in-sulu-brought-to-malaca-ntilde-ang

上の記事によれば、彼と両親の3人は2016年8月5日にサンボアンガ・シブガイ州パヤオ郡バランガイ・クリサップにて同時に拉致された。両親は、同年8月22日と11月13日にそれぞれ身代金と引き換えに解放されていた。父親は政府職員、妻は商店やココナツ・プランテーションなどビジネスを切り盛りしていると報道されているが、身代金のために少なくともいくつかはたたんでしまったようだ。

この拉致事件は、私がアブサヤフ・ウォッチングを始める少し前に起こっていたので、今回の報道を通じて初めて知った。
ちなみに、8歳の子どもが拉致されていたことは2014年にもある。
http://www.rappler.com/nation/73500-abu-sayyaf-releases-girl
このときの少女も、別の町だがやはりサンボアンガ・シブガイ州内で拉致されていた。

さて、これで残る人質は私の試算だと、

オランダ人 1名
マレーシア人 5名
ベトナム人 13名
インドネシア人 7名
フィリピン人 5名

になる。日本人の伊藤は、現在自発的にアブサヤフと行動を共にしていると考えられており、この数に入っていない。

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