アップデート:2800人突破、デュテルテ大統領になってからの麻薬関係死者

先月「デュテルテが大統領になってからの麻薬関係死者が1800人を突破」を備忘録として書いたが、9月に入っても勢いはとどまるところを知らず、国家警察による、ショットガンの名前を模した「ダブルバレル」プログラムにおける9月4日の時点で既に2800人を超えていたという記事を発見。

http://www.finlandtimes.fi/worldwide/2016/09/04/29851/More-than-2,800-killed-in-drug-operations-in-Philippines

現在フィリピンでは、麻薬関係の中国人がしょっちゅう捕まっているほか、報復等で警官が暗殺されたり、さらにはときどき幼児が巻き添えを食って殺されたりもしている。ビビッて出頭する下っ端関係者も数十万人と多い中、リハビリプログラムのために収容する場所の確保に一生懸命だ。

素朴な疑問だが、万一彼らが更生したとして、数十万人に非正規でも雇用を与えられるような力が政府にあるのだろうか。というのも、ただでさえ失業率が高いのに加えて、フィリピンではしばらく前からのサウジアラビア不況による構造改革の影響を受け、出稼ぎに行っていた肉体労働者も続々戻ってきており、麻薬関係者の多くを占める成人男性層とバッティングしている。

ひとつだけ考えられる好材料は、今年から2年間はジュニアハイを新しく出た若者をシニアハイに助成金付きで接続するプログラムがあるので、ハイスクールを出たばかりで失業する人は少なめなのではなかろうか。それに伴い、同程度の非熟練度の若者は競合が増えることなく職探しができるモラトリアムのような感じになっていくと思われる。

デュテルテが大統領になってからの麻薬関係死者が1800人を突破

大宅壮一ノンフィクション賞も受賞した作家でもあるマニラ新聞の記者、水谷竹秀がブロゴスに寄稿した記事(参照)によれば、新大統領就任1カ月にして麻薬関係死者が400人以上、とある。

ところが、その数週間後に出た下の英語記事をみると、約1800人となっている。
http://gulfnews.com/news/asia/philippines/philippines-drug-war-death-toll-at-1-800-1.1883476

下の日本語のロイター記事はどうやら誤訳で、1067件というのは約1800-712 =1067。警官に射殺された人数が400から712になっているだけでもかなりのスピードなのに、その上に「関連」すると言われる殺害件数がその倍以上あるという。

http://blogos.com/article/187932/

そのすべてが必ずしも本当に関連でないのは、フィリピンだから当然だろう。

1945年 マニラ新聞―ある毎日新聞記者の終章

フィリピン本。今回は戦争モノのドキュメンタリー。

「1945年 マニラ新聞―ある毎日新聞記者の終章」南条岳彦(1995)

1945年 マニラ新聞―ある毎日新聞記者の終章
南条 岳彦
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本書のタイトルにある「マニラ新聞」は、現在ある「まにら新聞」とは全くの別物で、言ってみれば初代である(ちなみに現在の「まにら新聞」は1996年に、「Kyodo News Dialy」(1992年創刊)が名称変更したもの(参照))。

その初代「マニラ新聞」にしても、マニラ日日新聞などを接収して1942年に作ったもの(参考)で、さらにマニラ日日新聞はマニラ商工新報が前身で、、、と書き出せば長くなる。

それはともかく、本書の著者はたった3年間しか続かなかったこの初代「マニラ新聞」の編集長の息子さんで、自らも報道関係者なのだそう。幼少期に数年間を一緒に過ごしただけの父のことを十何年も調べ続け書き上げたという労作である。当時の時代を感じさせるという面では面白い本。

ただ、焦点はあくまで父・南篠真一と彼を取り巻く世の中であって、後半になるまでフィリピンの話は全然出てこない。なので、これをフィリピン本として読んだ俺は前置きがえらく長く感じてしまった。

マリア・プロジェクト

フィリピン本、ではないけれど、フィリピンを舞台にした楡周平の小説。

「マリア・プロジェクト」楡周平(2001)

マリア・プロジェクト (角川文庫)
楡 周平
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彼の作品を読むのは2度目だが、ドラマチックな展開と設計や描写の緻密さが持ち味なんだと思う。気分転換やストレス発散にいい、というのはハリウッド映画のようでもある。

さて、舞台をフィリピンにしてあることについて、前半を読む限りでは別にインドでもいいじゃん、という感じがしたが、後半はフィリピンであることの必然性が表れていたように思う。ステレオタイプのイメージを活用しつつ、それでいて実際に行って取材をしないと見えてこないようなレベルでの国民性の捉え方みたいなのもある。もちろん、実際にフィリピンに住んでいた者からすれば不自然なところもいくつかあるのだけども(たとえば、庭師が見取図を描くくだりとか)。

全体として、同じフィリピンを舞台にした小説と言っても、以前紹介した「カリナン」とは格が違うという印象。しかし、俺的には「フィリピンフール」
が一番面白かった。ウワサばかりで何を信じていいかわからないという、日本人にとってのフィリピンをよく描けていると思う(逆に言うと、先の楡周平の作品においてフィリピンは舞台設定でしかない)。

フィリピン・フール (ハルキ文庫)
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さて、次回のフィリピン本はノンフィクションが一冊、さらに、中世の航海誌も日本語版を手に入れたので読んでいくことにする。せっかく日本にいるうちに日本語の本をたくさん読みたい。

愛しのアイリーン(漫画)

フィリピン本、ではなくマンガ。そういえばこんなのあったなぁ、と思い出して一気に読んだ。

「愛しのアイリーン(新装版)」新井英樹(2014)

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新井 英樹
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マンガのオリジナル版は1995年~。この当時の日本はフィリピンパブ真っ盛りで、1993年には岸谷五朗とルビーモレノ主演の映画「月はどっちに出ている」が出ていた。フィリピンといえばフィリピンパブや買春ツアー、田舎の自治体を挙げて農村花嫁の斡旋をするような、今では考えられないようなことがまかり通っていた。当時は今と違ってヤクザの活躍もめざましく、フィリピンパブの中にはバックに人身売買組織が絡んでいることもあったそうだ。

で、このマンガ。モーニングに連載されていただけあって終始、男性目線。モテない中年である主人公は、オタクでもデブでもハゲでも、貧乏ですらないという設定。むしろ、思いやりも正義感も腕力もあって、モテる部類ではないか、という気さえするのだが。。実際、物語が進むにつれてモテ続けている。ついでに言うと、中年なのに精力が有り余っていてひたすらオナニーをし続けるという、なんだかよくわからないキャラだった。

対してフィリピンから来た18歳の娘アイリーンは、野性的と言うよりはほとんど猿で、フィリピン人が見たら憤慨するようなキャラクター。というか、全体的に登場するフィリピン人のにならずマンガのトーン自体が差別的で、フィリピン人にはとても見せられない感じではある。

では「このマンガは差別的なマンガだ」と非難すればよいかというと、そうでもない。大した人気は出なかったとはいえ、こういうマンガが受け入れられた世の中というのが確かにあって、もっと言ってしまえば先の「月はどっちに出ている」の延長線上にあるだけだと思うからだ。たしかにこれが当時の日本社会だったと思うのだ。親日という若いフィリピン人には、ぜひ読んでほしい。と言って俺がタガログ語訳しようという気にはならないのだが。

題材はさておき、マンガ自体はけっこうパワーがあって、特に上巻の方は面白かった。反面、後半はかなり意味不明な感じがしてちょっとついていけなかった。女性の方は、読んでも不愉快になるだけだと思うのでお勧めしない。

フィリピンの便利な空港と不便な空港

現在フィリピンの事実上の国際空港は3つ。マニラ、セブの他に、ダバオからシンガポールに行く会社が2つある(シルクエア―とセブパシフィック)。
マニラやセブと比べて、ダバオの空港の落ち着き具合は圧倒的。

以下は、これまで旅行で通ったフィリピンの空港の、市街から空港までのアクセス別のランキング。この中でクラークだけはずっと行っていないので、8年前と同じと仮定する。

すごい便利な空港(市街まで歩いてでも行ける)
デュマゲテ
サンボアンガ (ターミナル使用料150ペソ)

便利な空港(市街までジープで行ける。10ペソ以内)
ダバオ (ターミナル使用料200ペソ) タクシーだと100ペソ程度。ジープの場合、市街は空港を出て左方向なので、反対側の車線に渡ってからひろうこと。
プエルトプリンセサ

普通の空港
マクタン・セブ (国内線ターミナル使用料はたしかチケット代に込み、国際線は750ペソ)
 セブの空港からはガイサノ・マクタンまで行くジープがあり、そこから乗り合いバンでセブ市(SMとかアヤラモールとか)まで行ける。ただし、セブ市に行くまで渋滞があるのと、このバンがとても暑く乗り心地が悪いことから、オススメしない。ラッシュ時を避け、タクシーが無難。渋滞がなければアヤラモールまでせいぜい150ペソ程度。

ちょい不便な空港
クラーク
マニラ (国内線ターミナル使用料はチケット代に込み、国際線は550ペソ)
 マニラの空港、第一ターミナルはアジア最恐の部類。フィリピン航空やセブパシフィック専用の他ターミナルの方がすべてにおいて優っている。現在は空港の周りの高架道路の建設のために慢性的にひどい渋滞。深夜・早朝の発着だと渋滞がないのでオススメ。
空港からの公共交通は、リバースワールドを通ってパサイのロトンダまで行くバスがあるが(20ペソ)、そこからの乗り継ぎが劣悪なのでオススメしない。市街へは空港からタクシーで行くべき。運転手に払う料金とは別に何十ペソか通行料として払うことになるが、ハイウェイを通るのが最短。

ものすごく不便な空港(両方ともかなり新しい空港)
バコロド
カガヤンデオロ

フィリピンのECC(出国クリアランス)

フィリピンの観光ビザ関係については、このブログで何度か取り上げています。(たとえば、フィリピン観光ビザの6ヶ月延長について(2015年2月)、それから2014年7月の
フィリピンの観光ビザ更新料が値上げ

さて、フィリピンに観光ビザで続けて6ヶ月以上滞在している場合、出国する2週間前にイミグレーションでECC(出国クリアランス)というのを取得しなければいけないことになっている。ここ数年のことではなく、おそらくけっこう前から。

これをやらないと、なんと出国させてくれないそう。まじか。。入国審査が厳しい国あっても、出国を拒む国というのも珍しい。もしそうなってしまうと、チケットによっては買い直すはめになったり、予定が狂ってもう一回ビザを更新しなければならなくなったりしてしまう、、はず。

http://www.rappler.com/nation/86662-bureau-immigration-foreigners-clearance

しかしながら、昔はこれがまたあんまりちゃんと運用されていなかったらしく、まだicardがなかった8年前ぐらいには、私はこんなクリアランスをとらずに出国できたし、その後も今まで普通に出入りできている。

そんなわけで、このクリアランスが現在どの程度厳格にやっているのかはわからないのですが、リスクをとりたくない中長期滞在者はとりあえず真面目に取得しておいた方が無難だと思います。上記記事によれば、これにかかる費用は1200ペソかそこら。

2015年3月時点では、下記のイミグレで手続ができた、ということです。
Intramuros, Manila; Batangas; Cagayan de Oro City; Cebu; Clark; Legazpi City, Albay; Tacloban City, Leyte; Tuguegarao City; Davao; SM North Edsa, Quezon City; and Sta Rosa, Laguna.

マニラのタクシー

今朝の日刊まにら新聞によると、マニラ空港の第2、3ターミナルからパサイ市のみならずモールオブアジア(MOA)の方まで行く電気バスが始まるらしい。ただ、それより驚いたのは、先月から空港に普通のタクシーが乗り入れられるように規制が変わったとのこと。これまで初乗り料金がちょい高いがマナーがそれなりの黄色タクシーがあったが、またなにか政治的な駆け引きで制度が変わったよう。

それにしても、マニラのタクシーについては最近いろいろと変化があるよう。たとえばこれ。
「フィリピン政府がタクシー相乗りサービスを省令で制定、ウーバーなど配車アプリも対象に 」

フィリピン政府がタクシー相乗りサービスを省令で制定、ウーバーなど配車アプリも対象に

タクシー相乗りというのはいわゆるFX型の移動手段でしょうが、当然ながらウーバーは路線ではないので、それが新しいとのこと。

マニラは公共交通がだんだん麻痺してきており、政府としてもなかなか打つ手がない。ODAで作ったMRTはメンテができておらず事故があって以来スピードが出せず、かつ料金も去る1月から二倍近くに上がったばかり。かつ、国鉄(PNR)はつい先日脱線事故があり、マニラあたりでは無期限運航停止になってしまっている。

バスはバスで、昔から同じ路線を会社間で競争しており、いつも客の取り合いで先に進まない。3車線もある大通りですらバスがほぼ蛇行運転しているのを見るにつけ、普通にまっすぐ走れないかとため息が漏れる始末です。バスがまっすぐ走れない国なんてフィリピンだけじゃないの?

あ、またマニラの愚痴になってしまった。。

追記:タクシーに関連して、2015年5月21日のまにら新聞によれば、MMDA(Metro Manila Development Authority=マニラ首都圏開発局)が相乗り用アプリを開発したそうです。フェイスブックのフレンドが近くにいれば教えてくれる?かなんかだそうです。お役所仕事なので、流行らないとは思いますが。。

オンライン会話の先生の給料とか

ダバオに住み始めてから一ヶ月。一箇所に定住した方がいろいろと体験できることもあると知りました。正直に言って、ASEAN各地を放浪していたときより充実しています。

さて、こちらでローカルの若者と会ったりしていると、彼らの仕事や給料の話にもなります。こちらが聞いたわけでもないのに、わりとあけっぴろげに教えてくれます。

ダバオのようなところだと、大卒で12000ペソぐらいもらえればまあ普通のよう。公務員は1万5-6000ペソぐらいだそうです。
おもしろいことに、私立の学校の先生の方が給与が低いんだそうで、給与支払いの遅延があっても公立の先生になりたい人もいるようです。

それから、こちらでオンライン会話の先生をやっている人にふところ事情を聞いてみると、1レッスン25分で手取り40-50ペソが相場のよう。社会人がバイトでやったりする以外に、自宅でフルタイム勤務をする人もいますが、フルでも1万~11000ペソぐらいなので他の仕事と比べて決して多くはないです。オンライン会話は、日本以外に中国の会社とかもあるそうです。

マニラに「出稼ぎ」的に仕事に行った若者の話では、マニラの会社では大卒で15000ペソ程度。食費生活費が高くてさらに帰省の度に交通費がかかることを考えると、もし地方都市に十分な数の仕事があればわざわざ出て行かないかも、と思いました。

ただ、以上は普通の仕事の場合で、儲かることで知られるコールセンターやエンジニアその他だと話は違うでしょう。それに、以上はあくまで大卒とか20代なかばぐらいの人の話です。参考になれば。

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フィリピン観光ビザの6ヶ月延長について(2015年2月)

フィリピンの話。

先日、イミグレに観光ビザの延長に行ったのですが、いつからか6ヶ月まとめて延長できるようになっているようです。

といっても、最初のビザなし30日の後に行く初回の+29日の時点では、一ヶ月しかできません(こちらの料金は3000ペソちょい)。
その次から、6ヶ月できるとのこと。費用が割安になるわけでも割高になるわけでもなく、煩わしさを解消できるのが双方(個人とイミグレ)にとっての利点と思われます。

参考までに写真を撮ってきました。
IMG_0526_R
6ヶ月で、だいたい11500ペソ。

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