サンボアンガ市内でアブサヤフ幹部など4名が逮捕された件

去る10月11日と12日に、2009年の人質拉致および殺害事件に関与したとして指名手配中だったHassan Anang Mohammadほか3名がサンボアンガ市内で逮捕された。

参考英語記事↓

https://www.cnn.ph/regional/2020/10/12/Abu-Sayyaf-members-Zamboanga-City.html

現場はサンボアンガ市内のキャンプ・イスラム近くにあるLower Calarianというバランガイ。逮捕されたうちの一人は現役の港湾警備隊員ということで、やはり当局に協力者がいることでテロリストがサンボアンガ市内に入れるようになっているようだ。

ところで、先週はアブサヤフ関連で言えば、バシラン州にある刑務所から受刑者が8名脱走した事件があり、その中にアブサヤフのメンバーもいたとのこと。

参考英語記事↓

アブサヤフのメンバーであり受刑者のLahamanという男性が、受刑者なのになぜか銃を持っており、それを使って警備員を殺害し正面ゲートから逃走したという。

その後、1名は警察によって殺害され、もう1名は負傷させ身柄を確保した。しかしながら、14日の時点で6名は逃走中とのこと。

実は(少なくともこの地方での)脱走事件はそう珍しくなく、ちょっと検索しただけでも2件は記事は出てきた。せっかく捕まえても逃げられてしまうのであればアブサヤフ解体はそりゃこれまで難しかったわけだ、と思ってしまった。

https://www.voanews.com/east-asia/abu-sayyaf-suspected-philippines-abductions-jailbreak

スールーでインドネシア人自爆テロ容疑者が逮捕された件

去る10月10日に、サンボアンガ市で自爆テロをする予定だったとされるインドネシア人「チチ」ことRezky “Cici” Fantasya Rullieがスールーで当局に逮捕された。彼女の親は2019年1月にスールーの教会を爆破した実行犯で、彼女の夫は去る8月にやはりスールーで国軍に殺害されていた。国軍に殺害されたアブサヤフのメンバーの妻が自爆テロの実行犯になるのは今年8月にスールーのホロで起きた自爆テロ(参考:英語版wikipediaのリンク)と同じパターンだ。なお、今回逮捕されたのは上述のチチ(妊娠中)の他に未亡人が2人いたそう。

(↓参考:英語記事)

https://mainichi.jp/english/articles/20201010/p2g/00m/0in/076000c

https://www.aljazeera.com/news/2020/10/10/philippines-arrests-woman-suspected-of-planning-suicide-attack

北サンボアンガ州でアブサヤフに拉致された比系アメリカ人が救出された

去る9月16日に北サンボアンガ州のシラワイ町でバイクに乗っているところをアブサヤフに拉致された比系アメリカ人の男性が、10月1日に国軍によって救出された。

(参考英語記事↓)

https://www.channelnewsasia.com/news/asia/philippines-military-rescue-man-abu-sayyaf-militants-13171504

スールーでの連続自爆テロで17人が死亡

2020年8月24日にミンダナオ南西部のスールー州の州都ホロ市で連続自爆テロが起き、17名が亡くなった。初めの爆発は昼前の午前11時53分に、2番目は約一時間後の午後12時57分だった。それぞれの犯行現場は100mしか離れていないとのこと。

(参考:日本語記事↓)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/08/15-44.php
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/08/is-26.php

ホロでは、2019年1月にも爆発テロがあり20名以上が亡くなっている(当ブログスールーのホロの教会で爆破テロを参照)
が、今回も同じくアブサヤフによる犯行とのこと。なお、今回、自爆したのはそれぞれ2019年に殺害された自爆テロ犯の未亡人である女性である。

自爆テロはインドネシアでも2019年11月にスマトラで起きており、今回の実行犯と同じグループと思われる。

(参考:英語記事↓ なお、記事中に出てくるDaesh(ダーイッシュ)とはISのこと。↓)
https://www.arabnews.com/node/1725166/world

(追記:8/29付で、フィリピン政府から上記の事件に深く関与するとみられる以下の3名に対して、3百万ペソの報酬付きの指名手配が出された:
Mundi Sawadjaan(フィリピン人)、Andi Basoとその妻Reski “Cici” Fantasya (ともにインドネシア人))

(参考:英語記事↓ )
http://www.dailyexpress.com.my/news/157682/indonesian-couple-linked-to-sabah-might-have-been-involved-in-jolo-bombings-/
https://manilastandard.net/index.php/news/top-stories/332752/p3-million-bounty-up-for-jolo-bombing-suspects.html

サバ州東海岸(サンダカン含む)とスールー王国

2013年、Airphil expressがサンボアンガ―サンダカン便を始めたが、矢先に戦闘が起こり、便がストップした。かつて植民地自体にスペインから併合されず、20世紀に入りアメリカによって制圧されたスールー王国の末裔を名乗る、キラム三世が率いた私兵というかテロリスト集団がマレーシアのサバ州に攻め込んだ事件は、ウィキペディアには「ラハダトゥ対立(2013年)」として記録されている。非常に興味深い内容なのでここで紹介したい。

事件がおさまってすぐに、マレーシア政府は治安措置としてサバ州に当時住んでいたフィリピン人の移動を実行した(当ブログ「サバのフィリピン人の移動を発表」を参照)。これはおそらく不法移民で、ほとんどが国境近辺のスールーやタウィタウィ出身のバジャウやタウスグと思われる。不法移民の強制送還はイタチごっこであり、定期的に行われている(当ブログ「デュテルテが、サバ州の不法就労フィリピン人7000名の強制送還に合意」を参照)。

さて、上のウィキペディアの記事にもあるように、マレーシア政府はスールーのスルタン(キラム一族)に毎年5000リンギットの小切手を1963年あたりからずっと送り続けていたのだが、2020年7月26日付のまにら新聞の記事で、事件後にマレーシア政府はこの支払いを止めたということを知った(参考記事)。もっとも、支払いを行っていたことで「スールーの末裔」たちが調子に乗ってしまってこんな事件になってしまったのであれば、マレーシア政府としては続ける動機はもちろんない。マレーシア政府としては、送っていた金額は全然大したことないのだが。

ところで、上記のまにら新聞の記事によれば、キラム家は『マレーシアは相続人1人につき「年間5万3千マレーシアリンギット(約13万円)を13年まで支払い続けていた」と』主張していることになっているが、レートを換算すると13万円は5,300リンギットの間違いと思われる。また、上のウィキペディアにも5,300リンギットと書かれている(なお、ウィキペディアの記事を読むと総額5,300リンギットだったように書かれているので、この部分も不明)。

ともかく、2013年はこの地方は不安定だった年で、同年9月には今後はMNLFのヌル・ミスアリ派(ヌル・ミスアリ自身はそこにはいなかった)がサンボアンガ市に攻め込んだ(ウィキペディア英語版の記事”Zamboanga City Crisis“を参照。)。この事件は当地では英語で”Zamboanga Siege”と呼ばれているようだが、当ブログではウィキの記事にならって「サンボアンガ危機」と呼んでいる。

ラハダトゥ対立にしても、サンボアンガ危機にしても、背景にはバンサモロ基本法の制定の前段階の交渉に際して、ムスリム勢力の代表になれない各派閥の不満や焦りがあったようだ。現在はようやくバンサモロ暫定自治政府(2019年2月発足)ができ、政情は落ち着いているよう。(ISISが2017年にミンダナオ中部の都市マラウィに攻め込んだマラウィの戦いは別として)。

サンボアンガ・デル・スル州でイギリス人とフィリピン人妻が拉致された件

数日前のことになるが、10月4日夕方に、サンボアンガ・デル・スル州のトゥクランという町で、当地でリゾートを経営する70代のイギリス人とフィリピン人妻が何者かによって拉致された。4人の男が拳銃を突き付け、ボートで待機していた2人と合流し海に去って行ったという。

(英語参考記事↓)
https://www.rappler.com/nation/241785-gunmen-abduct-couple-zamboanga-del-sur

おそらくISIS系のテロリストの仕業ではないかと思われるが、現在まで犯行声明は出ていないという。おそらく、実行犯が身柄をアブサヤフ等に引き渡し、そこから身代金交渉が始まるのではないだろうか。

ところでアブサヤフのニュースは最近あまり聞かなくなったが、同10月4日にはアブサヤフのサブリーダー格が、ケソン市に潜伏していたところを逮捕された。

(英語参考記事↓)
http://www.manilastandard.net/news/national/306638/abu-sayyaf-sub-leader-arrested-in-quezon-city.html

この記事を読むと、彼はアジャン・アジャン(Ajang-ajang)というサブグループの所属だったことがわかる(アブサヤフは、ひとつのグループというより緩やかなネットワーク)。記事では、はじめはサンボアンガ市にいた際に月1万ペソの報酬を約束されて参加した、とあり、やはりこのような若者がリクルートされていくのは地方の貧困が背景にあるように思われる。

後日追記:
この二人は同年11月25日に救助された。
(英語参考記事↓ なお、この記事ではTukuranがZamboanga del Norteの南にある、と書かれているがZamboanga del Surの間違いである)
https://www.aljazeera.com/news/2019/11/philippine-troops-rescue-couple-kidnapped-abu-sayyaf-191125032516299.html

それはそうと、この夫妻、実はリゾートだけではなく小さな大学も経営していた。手作り感あふれるウェブサイト、ある意味すごい↓
https://hyronscollege.page.tl/
フィリピンでは、広報ツールとしてはウェブサイトよりはフェイスブックの方が重要なんだろう↓
https://www.facebook.com/pages/Hyrons-College-Philippines-Tukuran-Zamboanga-Del-Sur/869426599750647

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マニラのMRT3の荷物検査で手りゅう弾を所持した男を逮捕

どういう人物かは不明だが、去る2月24日に、メトロマニラのMRT3のクバオ駅で、手りゅう弾を所持した男が電車に乗ろうとして荷物検査を通過したところ、X線の機械で見つかって現行犯逮捕された。

参照(英語記事)↓
https://www.philstar.com/headlines/2019/02/24/1896392/mrt-3-passenger-arrested-possession-grenade

もし通過していたら、やはり電車を爆破するつもりだったのだろうか。報道によれば捕まった男はファーストネームが「クリスチャン」で、キリスト教徒のような感じがする。なんにせよ現時点では情報が少なすぎるので、捜査の進展を待ちたいところ。

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サンボアンガ市のモスクで爆破事件、2名が死亡

1月27日にスールーのホロの教会で爆破テロがあったが、翌日夜には犯行グループの一人と見られるアブサヤフのメンバーが、ミンダナオ南西部のサンボアンガ市内で警察と撃ち合いになり死亡した。

(参考↓英語記事)
https://www.sunstar.com.ph/article/1785124/Zamboanga/Local-News/Abu-Sayyaf-bandit-killed-in-a-shootout

上記記事によれば現場は市内のサント・ニーニョ・ビレッジと記載されており、おそらくユーベンコモールのあるプティックにあるサント・ニーニョ・ビレッジだと思われる。

さらに、今日1月30日には、サンボアンガ市内のモスクでグレネードによる爆破事件が起き、2名が死亡、4名が負傷した。事件が起きたのは市の南タロンタロンというバランガイで、海岸に近くイスラム教徒が比較的多いエリア。

(参考↓英語記事)
https://www.philstar.com/nation/2019/01/30/1889418/armm-gov-zamboanga-mosque-blast-highest-form-cowardice-obscenity

犯人は不明。先日の事件を受けてキリスト教徒による報復と見せかけたいテロリスト側の工作か、あるいは今回のバンサモロ自治政府(BARMM)に関連するイスラム教徒同士の紛争か、はたまた単純に爆弾の暴発か。

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スールーの首都ホロの教会で爆破テロ

今朝、ミンダナオ島の南西、マレーシアとの国境に近いスールー州の州都ホロにあるカトリック教会でミサの最中に2つの爆弾がさく裂し、多数が死亡・負傷した。本日夕方までに確認された死者数は20名、負傷者も81名にのぼっている。なお、中には国軍兵士も含まれている。(追記:1月30日時点では、死者21名、負傷者111名)

(参考:英語記事↓)
http://cnnphilippines.com/news/2019/01/27/jolo-town-cathedral-explosion.html
https://newsinfo.inquirer.net/1078076/jolo-sulu-blast-bombing-death-toll-injured-news
https://www.telegraph.co.uk/news/2019/01/27/twin-blasts-church-philippines-kills-19-injures-48/

この事件はおそらくというかまず間違いなく、先日成立したばかりのバンサモロ基本法(BOL=Bansamoro Organic Law)に反対する者の仕業。スールー州はMNLFの拠点であり、MNLFが今回のバンサモロ基本法の成立過程に参加していないだけに反対の立場。今月の住民投票でも、ほとんどの自治体が賛成する中でスールー州(とバシラン州の首都のイサベラ市)だけは反対多数という結果が出た。

今回のテロ事件は、賛成票を投じたとみられるグループに対する反対派からの報復ではないか、という見方もある。先の投票でも、かなりの数の有権者が本当は賛成票を入れたかったけれども脅されてあるいは恐怖にかられて反対票を投じたのではないだろうか。

国レベルではこの程度のテロ事件は想定内ということだと思うが、渦中の住民としてはたまったものではない。2022年にバンサモロ自治政府が発足すればますますMNLFの立場は弱くなっていくのだろうが、これからもまだまだ反対派のテロはなくならないのではないかと思う。そうなると、サンボアンガ市を始めとする比較的治安の保たれている地方中心都市に(イスラム教徒も含めて)島民が流入していく構造はやはりこれからも変わらないだろう。サンボアンガ市はすごい勢いで人口が増えており、しかもイスラム教徒の比率が上がっている。これに伴って言語のバランスも当然変わってくるので、サンボアンガのチャバカノ語を細々と研究し続けている自分としては今後も目が離せない。

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大晦日にコタバトのモールで爆破テロがあった件

去る2018年12月31日に、ミンダナオ島中央にあるコタバト市内のサウスシーズモール(South Seas Mall)の入り口付近で爆破テロがあり、2名が死亡、34名が負傷した。この犯行は軍によって先にテロリスト側の7名を殺害されたことへの報復と考えられているが、今回の犠牲者の中にはバンサモロ基本法の起草にかかわっていた者がいることから、もしかしたらこの人物を狙った爆破テロかもしれない。なお、犯人は1月2日夕方の時点でも特定できていない。

コタバトでは2013年にも爆破テロがあり、8名が死亡している。

ミンダナオの戒厳令は去る12月にもう1年延長されたばかり(参照)。2018年8、9月にはスルタン・クダラット州や南コタバト州ジェネラルサントス市で爆破テロがあったところから見るに、2017年のミンダナオ西部マラウィ市での戦闘が終わってから、テロリスト側の活動地域は少し東にシフトしている(参照「ミンダナオ中部スルタン・クダラット州で爆発テロ」「再びミンダナオ中南部スルタン・クダラットで爆破テロ」「今度はジェネラルサントスで爆破テロ」)
https://www.bworldonline.com/btc-worker-among-2-killed-in-cotabato-bombing/
https://www.independent.co.uk/news/world/asia/philippines-bombing-latest-mall-attack-cotabato-isis-dead-injured-rodrigo-duterte-a8705396.html
https://news.abs-cbn.com/news/01/02/19/cotabato-bomb-blast-an-act-of-terror-pnp

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