アブサヤフに拉致されたベトナム人一名が脱出に成功

ここのところドゥテルテ政権によるテロ対策が派手すぎてニュースもなかなか追いきれないのだが、今日は久々にアブサヤフ拉致問題についてのアップデート記事を取り上げたい。

6月16日に、アブサヤフの拠点のひとつであるバシラン島に捕らわれていたベトナム人船員のうち一名が脱出に成功し、国軍に保護された。拉致されたのは2016年11月なので、実に7カ月もの間人質としてつかまっていたことになる。

(英文記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/06/17/ASG-Vietnamese-hostage-recovered.html

上のCNNの記事では、他に26名の人質がいるとされ、21名はスールー、5名はバシランで、バシランに残されているこの5名はベトナム人の同僚。もっと詳しく言うと、バシランにいるグループはアブサヤフ傘下の”Furudji Indama(フルジ・インダマ)”という名前だそう。

別のニュースによれば、6月17日には爆弾製造担当のメンバーがサンボアンガ市内で逮捕されている(といっても、サンボアンガはフィリピン国内でダバオの次に市域が広大で、現場は町はずれだが)。このメンバーは、インドネシアの過激派テロ組織「ジェマ・イスラミヤ」から爆弾製造の訓練を受けたのだという。

(英語記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/06/17/aide-aby-sayyaf-leader-isnilon-hapilon-arrest-zamboanga-city.html
http://news.abs-cbn.com/news/06/17/17/close-aide-of-hapilon-arrested-in-zamboanga-city

ここからは私見だが、報道を見ていると、国軍による空爆を含む攻勢によりアブサヤフはかなり弱体化しているように見える。

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ミンダナオでの爆破事件で300人が亡くなった(2001~2013年)

先週あたりからもう”ISIS”と呼ばれるようになったマウテグループ&アブサヤフによる南ラナオ州マラウィ市占拠事件(マラウィ危機)は3週間経ってもまだ収束していないが、そろそろ時間の問題といえるような状況になってきたそう。ただし一般人が捕らわれたままで餓死した人もできる模様ではある。

さて、今回は特に新しいニュースもないので、ミンダナオでのこれまでのテロについて振り返ってみる。直近で一番の被害者を出したのは2013年のMNLFミスアリ派による「サンボアンガ危機」でたしか民間人が200人近く亡くなったのではと思う。それ以外では同時期に起きた「ママサパノ」での警官44人が亡くなった事件が記憶に新しいが、ただしこれはテロではなく政治家が黒幕だった。

さて、爆破事件に関しては最新ではないものの、2001~2013年のミンダナオでの被害をまとめた英語記事がある。記事中の表を日本語にすると、

地域          事件数      死者数      負傷者
ソクサージェン    25 125 585
ARMM   15 81 349
サンボザンガ半島 10 48 336
ダバオ地方 6 52 315
北ミンダナオ 5 48 190

となる。地域名に私なりの若干の解説をすると、ジェネラルサントス(ジェンサン)等があるのがソクサージェン、ARMMは南ラナオ州などのイスラム自治区、サンボアンガ半島はサンボアンガ市に南北サンボアンガ州も加えたもの、ダバオ地方というのはダバオ市に南北ダバオ州を加えたもの、そして北ミンダナオはアグサンやスリガオ(サーフィンで有名)等があるところだと思われる。

この間、一番狙われていたのはジェネラルサントスだったのだが、実はダバオ市も空港で2002年に大きな爆発があり、さらに数か月後にも空港に隣接する「ササ」というエリアで爆発が起き計38名が亡くなっている。そんなわけで、去年のダバオ市でのテロは初めてということではない。

(英語記事)
http://www.rappler.com/nation/35493-mindanao-bombs-300-killed-12-years

最後に、以上を見るとサンボアンガは他と比べて目立って多いわけではないことがわかるが、これはあくまで爆発事件の話。サンボアンガ周辺では悪質な拉致の事件が後を絶たず、現在でも外国人を含む約30人が人質になっているとされる(本ブログ「アブサヤフが8歳の人質フィリピン人少年を解放」などを参照。

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ボホールに侵入したサブサヤフの最後の一人も殺害完了

ちょっと遅れたアップデートになるが、去る5月15日に私が本ブログで「ボホールに侵入したアブサヤフ構成員が新たに一名殺害された件」を書いた後、実はボホールでは残った1名も殺害され、一掃が完了した。

(英語記事)
http://www.rappler.com/nation/169923-abu-sayyaf-terrorist-killed-bohol

場所はボホールのパンガンガン島。これで本事案は解決ということで、しばらくしたらボホール訪問を控えていた外国の観光客もまた戻ってくるようになるのでは、と思う。

ところでアブサヤフの拠点に関しては、5月17日付で政府から今年1月以降の作戦の成果が発表された。それによれば、この間に149名が無力化された、とのこと。内訳は、81名が死亡、50名が投降、18名が逮捕。ちなみにこれは主にスールーの拠点でのこと。下のビジネスワールドの記事によれば、政府が見積もった1月時点でのアブサヤフ構成員は500名程度とのことなので、作戦の成果は相当大きいと見える。

(英語記事)
http://cnnphilippines.com/news/2017/05/18/AFP-149-Abu-Sayyaf-neutralized.html
http://www.bworldonline.com/content.php?section=Nation&title=abu-sayyaf-toll-81-killed-18-apprehended-50-surrendered&id=145459

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比政府の認識しているアブサヤフの現人質数は31名

GMAニュースによれば、現防衛省長官であるロレンサナが去る3月9日に語った現状の人質数は、外国人24名、フィリピン人7名の計31名とのこと。政府が認識している人質の人数ということで、これまでの報道機関が報じていた数より信頼ができる。

http://www.gmanetwork.com/news/story/602710/news/nation/abu-sayyaf-hostages-nearly-double-during-duterte-admin-says-lorenzana

話の趣旨は、デュテルテ政権が発足した時点では18名だった人質が今では31名と増加している、というもの。

ではここで、内訳を改めて計算してみよう。私が報道を追っていて試算していた人数は、

オランダ人 1名
マレーシア人 5名
ベトナム人 13名
インドネシア人 7名
フィリピン人 5名

の31名だった。全体数こそ合っているものの、フィリピン人の数が2名足りず、外国人の数が2名多すぎることになる。
誤差が出た原因として可能性の高いのは、これまで「マレーシア人」または「インドネシア人」とカウントされていた人のうち2人が実はフィリピン国籍ということではないだろうか。
彼らはボルネオ島の中でもフィリピンに近いところで拉致されているため、どのみち民族的にはおそらく大した差はないだろうし、それに重国籍ということもありうる。

ところでもうひとつ上記からわかるのは、やはり日本人の伊藤は政府的にも人質としてカウントされていない、ということ。日本政府もきっと同じなんだろう。ただ、いつからそうなのかはネット上に記事が見つけられないのでわからない。少なくとも拉致された時点では日本政府も動いたと思うのだが。。

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アブサヤフが新たにインドネシア人3名を誘拐

つい先日にアブサヤフからフィリピン人2名が救出されたところなのに、実は同日にはインドネシア人3名が新たに誘拐されていた。場所は、マレーシアとフィリピンの間の海だという。

(英語記事)
http://www.thejakartapost.com/news/2017/01/20/three-indonesians-kidnapped-by-abu-sayyaf.html

先日のスター紙の記事に載っていた情報から計算すると、人質は今回のを合わせて以下となる。

オランダ人 1名
ドイツ人 1名
マレーシア人 5名
ベトナム人 6名
インドネシア人 7名
フィリピン人 6名

10月あたりに誘拐された韓国人船長が数えられていないのが気になるところだが、私の知らぬ間にもう解放されているのかもしれない。
また、何年も前に誘拐された日本人の伊藤はずっと前から数えられていないものの、アブサヤフと行動をともにしていると見られている。

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アブサヤフに誘拐されたフィリピン人2名を救出

1/19、フィリピン国軍がスールーでの作戦中、誘拐されていたフィリピン人2名を救出した。この2名は2016年10月26日にスールー沖で誘拐されていた。

(英語記事)
http://www.philstar.com/nation/2017/01/19/1664152/jtf-sulu-rescues-two-abu-sayyaf-hostages-indanan
http://www.rappler.com/nation/159013-abu-sayyaf-kidnap-victims-rescued-sulu

スター紙は上の記事の中で、残る人質は以下だと伝えている。

オランダ人 1名
ドイツ人 1名
マレーシア人 5名
ベトナム人 6名
インドネシア人 4名
フィリピン人 6名

10月あたりに誘拐された韓国人船長が数えられていないのが気になるところだが、私の知らぬ間にもう解放されているのかもしれない。
また、何年も前に誘拐された日本人の伊藤はずっと前から数えられていないものの、アブサヤフと行動をともにしていると見られている。

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サンボアンガ沖で漁民8名が海賊に殺された件

1月10日の早朝に、サンボアンガ市のラウド・シロモン島付近で海賊行為があり8人が殺された。事件は、15人が乗っていた漁船に2艘のスピードボードで海賊が襲ったもので、この海賊はアブサヤフと見られる。8名はいずれもフィリピン人で、サンボアンガ市内在住(ちなみにサンボアンガ市はフィリピンで3番目に広大な市である)。

助かった7人は海に飛び込み、泳いで近くの島に逃げることができた。

(英語記事)
http://www.philstar.com/headlines/2017/01/11/1661645/pirates-kill-8-fishermen-zamboanga
http://www.rappler.com/nation/157868-pirates-kill-boat-crew-zamboanga
http://newsinfo.inquirer.net/860972/8-zambo-fishermen-killed-in-attack

ラップラーの記事によれば、1月3日にも2艘のスピードボードで海賊が船を襲おうとしたが、通報を受けた海上警備隊によって阻止されていたという。ちなみにこの船はダバオからサンボアンガに行く途中だった。

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本ブログ内のアブサヤフ関連事件の記録はこちら→ ミンダナオ治安(テロ関連)