マラウィ危機(マウテグループによる占拠事件)死者数のアップデート

5月から続いているマラウィでのISIS(ここでは、マウテグループ、アブサヤフ、さらにBIFFやアンサルカリファ・フィリピンの連合とされる)との戦闘についてのアップデート。

ネットメディアのRapplerによると6月30日時点で、死者数は
政府側(国軍と国家警察).. 82人
テロリストに殺された民間人.. 39人
テロリスト.. 317人
という。これまでに政府やNGOが1713人救出したが、まだ全面解決にはいたっていない。

(英語記事)
http://www.rappler.com/nation/174358-death-toll-marawi-clashes-june-30

ちなみに5月に敷かれたミンダナオ全域の戒厳令は、60日以内という制限つきなので7月22日頃までには解かれないといけないのだが、果たして現政権はルール通りに行うのか、その点も少し気になるところではある。

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ミンダナオのイスラム過激派テロ組織まとめ2017

ここのところ、報道に出てくるミンダナオのイスラム過激派テロ組織がいろんな名前で、複雑です。年を経る毎に組織が枝分かれしている結果、あるいは活動規模が大きくなっている結果と言ってもよいでしょう。政治的成果を上げたタイミングなどで分かれているように見えます。

まず元祖は、ジャビダ事件などを背景に70年代に誕生したMNLF(モロ民族解放戦線)で、1976年にリビアが仲介したトリボリ協定をきっかけに、分裂してMILF(モロ・イスラム解放戦線)と2つになってしまった。その後、MNLFは1996年の政府との和平合意(によってイスラム教徒ミンダナオ自治地域(Autonomous Region in Muslim Mindanao, ARMM)の誕生という政治的成果に寄与した(ただし、全体的にARMMは成功していない)。しかし、MNLFがその後大人しくなったかというと必ずしもそうでなく、2013年にはその一派がサンボアンガを襲って大事件となった(本ブログ「サンボアンガの戦闘」、「サンボアンガ危機」を参照)。

さて、分裂したもう一方のMILFはその後何度も政府と駆け引きを続け、ついに2014年の和平合意でARRMを改める「バンサモロ自治地域」を発足させるという政治的成果に向かうこととなった(ただし、当初2016年に実現するはずだったものの、その年の国会で基本法の法案が否決されたため2017年2月現在、まだ発足していない)。

MNLFから分裂したものには、もうひとつアブサヤフ(Abu Sayyaf)があり、細かく言えば組織ではなく複数の小グループによる緩いネットワークだとされているが、報道ではあたかもひとつの組織であるかのように扱われている。1991年にMNLFから別れ、現在も主にスールー諸島とその周辺を拠点している。特に身代金目的の誘拐行為が有名で、国境線を越えてインドネシアやマレーシアのボルネオ島=カリマンタン島でもときおり活動している。

と、しばらくこの3つがメジャーどころで後はメディアにはほとんど登場しなかったのだが、最近はさらにISISとのコネクションを公言するグループが登場し、さらにマニラやダバオでもテロ事件あるいはテロ未遂事件を起こしたりしている。

具体的にはマウテグループ、アンサルカリファなどなどで、詳しくは下の

ミンダナオ治安(テロ関連)

を参照してほしい。ミンダナオ島内の活動地域についても言及しています。

以上、簡単なまとめでした。

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マレーシアのサバ州からIS組織戦闘員をミンダナオに送る計画を摘発

去る1月23日、マレーシア当局は、ボルネオ島サバ州からフィリピン・ミンダナオ島にIS戦闘員を送り込む計画を発見したと発表した。
これは、1月13日と19日に行われた逮捕劇で、IS関連分子4名(フィリピン人男性(31)1名、バングラデシュ人男性(27,28)2名、マレーシア人女性(29)1名)を逮捕したことにより明らかになったという。このうちフィリピン人とマレーシアは、13日にクアラルンプール(KL)から飛行機でコタキナバルに到着したところを空港で逮捕されたという。一方、バングラデシュ人2名は19日にクアラルンプールで逮捕された。

(英語記事)
http://www.benarnews.org/english/news/malaysian/is-cell-01232017131917.html

送り出し先予定は、ミンダナオ島南ラナオ州のマラウィ市だったという。マレーシアのサバ州から、セレベス海を挟んだ向かい側にあるミンダナオ島まで、おそらく船で運ぶ計画だったのだろう。その界隈はアブサヤフが頻繁に海賊行為を行っていることでも知られている。

先の記事によれば、ミンダナオには、相互に関連しているISIS関連の組織が3つあるとされていて、文脈から私が判断するに、
Maute group
Ansar Khalia Philippines (AKP)
Al Harakat ul Islamiyah Basilan

と思われる。マレーシア、インドネシア、フィリピンのIS系テロ組織は中東とも連携して活動しており、2016年にはそれぞれのメンバーがyoutubeにも登場している。これらをまとめた英語記事が最近公開された。特にマウテグループの活動について詳しい。

(英語記事)
http://www.rappler.com/newsbreak/in-depth/159609-millennial-terrorism-isis-philippines

ここで登場したフィリピン人は、アンサル・カリファ・フィリピン(Ansar Khalia Philippines (AKP))メンバーのモハマド・レザ・キラムMohammad Reza Kiram(26)で、サンボアンガ市出身だという。

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IS関連のテロ組織「アンサル・カリファ・フィリピン」のリーダー殺害

このブログでのアップデートが少し遅れてしまったが、去る1月5日に、ミンダナオのサランガニ地方でIS関連のテロ組織「アンサル・カリファ・フィリピン」のリーダーが殺害された。

(英語記事)
http://www.rappler.com/nation/157408-top-leader-pro-isis-akp-tokboy-dead
http://news.abs-cbn.com/news/01/05/17/leader-of-pro-isis-group-killed-in-sarangani
http://www.philstar.com/headlines/2017/01/06/1660108/leader-pro-group-phl-killed

この組織は、去年末の、マニラのアメリカ大使館前に爆弾が設置される(ただし不発)という事件を起こしたとされているほか、ミンダナオでこれまで数年にわたって数々の事件を起こしている。

ちなみに、ミンダナオにはIS関連と名乗っているグループが他にもあり、例えば南ラナオ州を拠点としているマウテ・グループ、BIFF(バンサモロ・イスラム自由戦士)などがある。ただし、根は同じで、今回殺害されたMaguid(読み方不明、マギドあるいはマグウィッドか)も、インドネシアのテロ組織ジェマ・イスラミヤの構成員から訓練を受けていたとか、さかのぼればMILF(モロ・イスラム解放戦線)に所属していた等とされている。

こういうテロ組織が拠点にしているのは、マギンダナオから南ラナオ州にかけてのARMMで、そのあたりで起きている物騒な事件の後ろにはたいてい彼らがいる。一方で、ミンダナオ全体で見れば他にも反政府勢力はいくつか種類があり、ブキッドノンなどの山にいる共産ゲリラ、そしてスール―諸島を拠点にしているアブサヤフが悪名高い。全体として見れば特別治安が悪化しているようにも見えないが、テロ組織が活躍している限りはビジネスは広がらないので、他の都市部との格差が拡大ばかりで残念。

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本ブログ内のアブサヤフ関連事件の記録はこちら→ ミンダナオ治安(テロ関連)