マラウィ市の「テロリストからの解放」が宣言された

今年の5月にIS(マウテグループとアブサヤフ等の合同チーム)が潜入して以来戦闘状態だったミンダナオ中部のマラウィ市について、ドゥテルテ大統領は10月17日に「解放」されたと宣言した。

(英語記事)
http://news.abs-cbn.com/news/10/17/17/duterte-marawi-liberated-from-terrorists
http://www.sunstar.com.ph/manila/local-news/2017/10/17/duterte-declares-liberation-marawi-569850

また、当局は昨日、テロリスト側リーダーのイスニロン・ハピロン(Isnilon Hapilon)とオマル・マウテ(Omar Maute)は軍の作戦によって殺害されたと発表していた。
現在のところ、まだ残党は多少(6-8人の外国人を含むテロリスト30人程度)残っているもののリーダーが殺害されたので収束を宣言した、というのが実態のようだ。
ちなみに、人質もまだ20人程度残っているので、どうみても収束とはいいがたい。

(英語記事)
http://www.sunstar.com.ph/manila/local-news/2017/10/16/isnilon-hapilon-omar-maute-killed-marawi-569626

今回の一連の戦闘で、テロリスト側は800人以上が死亡したとされている。

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マラウィ危機のその後2(アップデート)

5月に発生したマウテグループなど(現在はISISと呼ばれている)によるマラウィ占拠事件は、残る戦闘現場はサッカーコート3つ分、ようやっと最後の一押しというところだが人質が40数人いるため思い切った作戦ができない状態という。ただ、兵糧攻めをする場合、先に人質が飢え死にしてしまうのは目に見えている。一挙に解決というのは難しいようだ。

(追記:10/4に、上述の人質のうち少なくとも17名が救出された↓
https://www.rappler.com/nation/184223-marawi-hostages-rescued

下の英語記事によれば、9月30日時点の死亡者数は、政府側が155人、民間人が47人、テロリストが749人となっている。
https://www.rappler.com/nation/183849-marawi-death-toll-september-30

テロリストの武器は兵器の他、即席爆弾(または即席爆発装置) =Improvised Explosive Device, IEDと呼ばれる簡易手製爆弾を使っており、今回押収されたものの写真などもメディアに出回っている。中には、1ペソ硬貨を使ったものなどもある。こういったテクノロジーはネットワークを通じて国際的に技術移転されているわけだが、それだけの能力があるんだったらもっと建設的な方向に使っていってれば、今頃ミンダナオはもっと発展しているだろうにと思う。

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マラウィ危機のその後(アップデート)

5月に発生したマウテグループなど(現在はISISと呼ばれている)によるマラウィ占拠事件は、規模は相当縮小したものの、いまだに戦闘が続いている。立て籠もっている残党はおそらく20人程度だが、リーダーが殺害されたという報道はないのでまだ戦っているか、戦死したのか、あるいは既に脱出したのか不明。

下の英語記事によれば、これまでのところの死亡者数は、政府側が145人、民間人が45人、テロリストが600人以上となっている。また、マラウィの町は壊滅的な被害を受けており避難民は周辺を合わせて60万人規模。
https://www.rappler.com/nation/181543-marawi-war-reinforcement-lake

町の大部分は既に解放されているので、少しずつ復興に着手しつつあるところ。相当な時間がかかるだろう上に、もともと貧しい地域なだけに復興支援漬けになりそうな感じがしなくもない。

ところで、ミンダナオに敷かれている戒厳令は当初7月までだったのだが、国会の承認を得て年末まで延長されている。フィリピン憲法のことはよく知らないが、年末になったらまた延長の手続きがとられるような気がしてならない。

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アブサヤフがバシラン州の村を襲撃

去る8月21日になるが、アブサヤフの一団がスールー諸島の手前にあるバシラン州(サンボアンガの向かいにある島)の村で行われる祭りを狙って襲撃を行い、村人9人が死亡、10人が負傷した。下のリンク先の英語記事にはビデオもついている。

(英語記事)
http://www.rappler.com/nation/179451-basilan-abu-sayyaf-attack-civilians-dead

同記事によれば、この襲撃はアブサヤフの他の戦線から軍の注意をそらすための作戦とみられる、とのこと。

そんな理由で襲撃を受ける方はたまったものではない。近年、バシランやスールー諸島からサンボアンガをはじめとする他州への移民が進んでいるのは、このような治安の悪化が背景にあるのは間違いない。ちなみにサンボアンガはものすごい勢いで人口が増えており、既に人口は100万人を超えているとみられる(この人口は、ミンダナオではダバオに次いで二位)。それだけでなく、サンボアンガ市民のムスリム比率が急激に増えているのも注目される。

このことが市内で使われる言語にも影響が大きな影響を与えているのは言うまでもなく、おそらく特にタウスグ語話者が増えているのだろうが、バシランやスールー諸島の人々は他にもヤカンやバジャウなどいろいろな民族がある。多言語ウォッチャーの私としては、サンボアンガ市内(特にダウンタウン)の小学校などがどうなっているのかも非常に気になる。

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セブパシがサンボアンガ―サンダカン(マレーシア)便を10月29日から開始

2017年にウェブサイトがリニューアルして格好よくなったサンボアンガ国際空港は、一応「国際空港」と名の付くものの、しばらく国際線がなかったものの(ちなみにダバオ国際空港もわりと最近まで国際線がなかった)、ついに復活するそうだ。

セブパシフィックはサンボアンガ―サンダカン(マレーシア)便を10月29日から開始する。サンダカンはマレーシアのボルネオ島(ちなみにインドネシアは同じ島をカリマンタン島と呼んでいる)の東北の方にあり、西側の100万都市、コタキナバルまではキナバル山(ちなみに国立公園で、ちゃんと登山する際には宿を予約したりガイドをつける必要があるそう)の前を通る長距離バスが出ている。所要時間はたしか10時間程度。

サンボアンガ―サンダカンの間は昔からフェリーがあって地元の人が使っているのだが、たしか片道8000ペソぐらいかかるし、もちろん時間もかかる。一方セブパシの価格はというと、とりあえず始めたばかりのプロモ価格では、1300ペソと圧倒的に安い。地元の人には嬉しいに違いない。

サンボアンガ国際空港からサンダカンへは、これまでもいろんな会社が運航しては止め、を繰り返してきた。

たとえば日本語版ウィキペディアの「サンボアンガ国際空港」には、エアフィル(フィリピン航空=PAL傘下)が運航していると書いてあるが、これはとっくになくなっているのに記事がずっと残っている例。

エアフィルは、2013年に再開しようとしたが、すぐに計画段階でひっこめた。
(英語記事を参照)
http://www.routesonline.com/news/38/airlineroute/185908/airphil-express-to-start-zamboanga-sandakan-service-from-late-april-2013/
http://www.routesonline.com/news/38/airlineroute/197665/pal-express-cancels-planned-zamboanga-sandakan-service-due-may-2013/

その前は、アジアンスピリット(事故のあとゼストエアーと名を変え、その後エアアジアに買収された)が2007年からしばらくこの路線を運航していたようだが(参照)、終わってしまった。2007年にはSEAIRという会社も季節限定で運行していたような記述もネット上では見られるが、実際はどうだったのだか(英語版ウィキペディア参照)。

さらにその前もSouth Phoenix Airwaysという会社が運航を発表したものの、乗客が思うように集まらずに止めてしまった、と英語版ウィキペディアには書いてある。

そんなわけでサンボアンガ国際空港はこれまで国際空港としては非常にパッとしなかったのだが、これからはどうなるのか。ミンダナオ出身のドゥテルテが大統領をやっているからにはミンダナオは開発されていくのだろう、と期待したい。

7月15日に拉致されたフィリピン4名のうち最後の人1名も救出された

アブサヤフに拉致されたフィリピン人3名が逃走し救出された件の続き。7月15日に拉致されたフィリピン人4名のうち、残っていた最後の一名も8月14日に国軍によってバシランで救出された。

(英語記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/08/14/Abu-Sayyaf-hostage-Basilan-rescue.html

この事件は、サンボアンガ市在住の6名のフィリピン人の建設労働者が、7月15日にスールーのパティクルでアブサヤフによって拉致されたもの。うち2名は同日国軍によって救出され、3名は8月11日に逃走に成功し国軍に救出されていた。

(英語記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/07/16/Suspected-Abu-Sayyaf-kidnap-four-workers-in-Sulu.html

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アブサヤフに拉致されたフィリピン人3名が逃走し救出された件

7月15日にスールーのパティクルの小学校で拉致された4名のフィリピン人の建設労働者のうち3名が、8月11日に救出された。下のフィルスターの記事には、彼らのアブサヤフに捕らえられている写真付きで掲載されている。

(英語記事)
http://www.philstar.com/nation/2017/08/11/1727939/3-kidnapped-construction-workers-escape-abu-sayyaf-sulu

ところで、俺もニュースが全部追えるわけではないのでアブサヤフの拉致関係で漏らしてしまっている報道も多いわけだが、そのうちのいくつかの最近見つけたものをここに載せておきたい。

6月8日、セレベス海で2016年12月に拉致された4名のうちの1名を、スールーのタリパオで救出した。ちなみに4名のうち船長は既に去る4月に斬首されている。
5月1日、スールーのパティクルで4月29日に拉致された政府職員2名が救出された。
http://www.sunstar.com.ph/zamboanga/local-news/2017/05/01/troops-rescue-2-government-workers-sulu-539447

他にもまだあるのだろうが、とにかくアブサヤフが特にバシラン・スールー近辺ですごい数の事件を起こしていることは明らか。俺が追っている情報で最新なのは、少し前の情報にはなるが6月18日の時点でスールーに21名、バシランに5名の人質がいるというCNNの記事(参照:アブサヤフに拉致されたベトナム人一名が脱出に成功

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