アブサヤフが拉致したフィリピン人7名を殺害した件

最近、アブサヤフによる拉致事件は起きてないと思っていたが、俺の情報収集が甘かっただけだと気づいた。

7月20日に、バシランのマルソ町で7名のフィリピン人木材伐採を生業とする者が拉致され、そして同月30日に遺体が同じくバシランの山中Lantawanで発見された。

(英語記事)
http://www.philstar.com/nation/2017/07/31/1723256/bodies-7-loggers-beheaded-abu-sayyaf-recovered
http://www.rappler.com/nation/177281-abu-sayyaf-beheading-loggers-basilan

上の2紙によれば、拉致された後に殺されたと書かれている。身代金目的ではないようだ。

拉致されたのか海上か陸上かは記事から読み取れない。職業の表示を見る限り、おそらく陸上なのだと思われる。500人近いメンバーがマラウィの戦闘で掃討された今でも、以前としてバシラン以南が物騒なことに変わりはないようだ。。一体、メンバーはあとどのぐらい残っているのだろうか。

(追記:地元メディアでの報道で、拉致されたのはバシラン山中であることが分かった。かつ少なくとも2名はサンボアンガ市在住であることも確認した)

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ミンダナオの戒厳令の年末までの延長が承認された件

本日7月22日、ミンダナオ全土に出されている戒厳令の年末までの延長がフィリピン上下院の合同特別会議にて賛成大多数(賛成261、反対18)で承認された。
今回は日本のメディアも取りあげている。

(参考記事)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H5A_S7A720C1EA3000/
http://www.asahi.com/articles/ASK7Q63QLK7QUHBI01Y.html

朝日新聞で、「民間人45人を含む578人が死亡。」と報道されている。昨日のrapplerの記事(参照)で読んだ限り、この中に100人の政府軍兵士も入っていて、一方テロリスト側の死者は425人。

上の日経の記事によれば、マラウィに残っているテロリスト側の勢力は70人程度となっている。

結局当初の目標であった戒厳令布告から60日以内にテロリスト(マウテグループとアブサヤフを中心とする連合)を当地から一掃することができず、かつミンダナオの他の地域ではNPA(共産ゲリラ)の動きも前より活発になっているようにさえ見える。おそらく、政府からの締め付けが強くなった分の反発にすぎないのだろうが、一般人からすると今まで事件のなかったところで事件が増えている、という印象ではなかろうか(そもそもマラウィ危機もあるいはしばらく前のボホール島の事件も、もし政府がバシランやスールーでの掃討作戦を強化していなかったら発生しなかったかもしれないが、「もし」の話はあまり意味がなさそうだ)。

ひとついいところは、最近はサンボアンガおよびスールー諸島の方では事件が起きていないようで、IS系過激派に関して言えば、マラウィに勢力が結集された分だけ周辺は静かになっていると言ってよさそうだ。

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ミンダナオの戒厳令が年末まで延長になりそう

もうすぐ憲法上に規定された最長の期間である60日を迎える戒厳令について、憲法が認める国会の承認のもとでの延長が実現しそうな見通しだ。
なお、本件について採決が行われるのは22日(土)とのこと。

(英語記事)
http://manilastandard.net/news/top-stories/242268/-161-days-more-for-martial-law-.html
http://newsinfo.inquirer.net/915409/senate-united-on-martial-law-extension-split-over-duration

上記記事によれば、延長の理由はマラウィを襲ったテログループであるISが今後またミンダナオで事件を起こしかねない、ということ。

うがった見方をすれば、戒厳令延長のためにわざと掃討作戦をダラダラと続けているのでは、という風に見えないこともないがどうだろう。

一方で、フィリピン各地にいる麻薬戦争の当事者やらドゥテルテの政敵からすれば、大統領が対テロ作戦にリソースをつぎ込んでいる限りは自分たちが当面狙われなくなるため、テロ組織を応援したいという思惑がありそう。

「ミンダナオ」という縛りがある限りにおいては、お互い戒厳令の延長にはとりあえずは賛成なのかもしれない。

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フィリピンを乗っ取った男

決して新しいストーリーではないのだが、一部とはいえ「戒厳令(martial law)」下の現在のフィリピンを理解する上で非常に良いと思った本。最近ようやく読んだのでここにメモしておく。マルコス政権でいわゆる「クローニー」として巨万の富を築き上げたダンディン・コファンコことエドゥアルド・コファンコ・ジュニア(Eduardo Cojuangco Jr.の物語。ちなみに、彼は現在もサンミゲルの会長であり、毎年フォーブス誌のアジアの富豪ランキングにも登場している。

そもそもマルコス時代になんで戒厳令になったのか、それを国民がどう受け入れ、そして戒厳令下で結局は何が起こったのか。今ミンダナオに敷かれている戒厳令とその意味を読み解く上でも非常に参考になった。

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一番のポイントは、ダンディン・コファンコがコラソン・アキノ(旧姓コファンコ)のいとこで、ノイノイ・アキノ前大統領のおじだということ。なので暗殺されたベニグノ・アキノと対立するはずのダンディン・コファンコは、結局は身内なのである。本書では、マルコス時代にタルラックでの地方選挙でダンディン・コファンコとベニグノ・アキノが交渉し、お互いに政治家としての地位を築いていった部分も描かれている。

そして、アキノ政権下で一時国外逃亡していたダンディン・コファンコはこっそり帰国し、差し押さえられていた持ち分を裁判で勝ち取りサンミゲルを再び手中に収める。マルコス時代のココナツ課徴金をめぐる裁判はずるずると引き延ばす作戦をとり、これはつい最近まで続いていた。
(英語記事)
http://newsinfo.inquirer.net/733742/sandiganbayan-thumbs-down-partial-judgement-on-coco-levy-case

こういった歴史を学んでいくと、フィリピンの政治がちょっとわかるようになってきて嬉しい。特に、なぜボンボン・マルコスの人気があるのかというのは、外国人にはちょっと理解できないことだから。

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マラウィ危機(マウテグループによる占拠事件)死者数のアップデート

5月から続いているマラウィでのISIS(ここでは、マウテグループ、アブサヤフ、さらにBIFFやアンサルカリファ・フィリピンの連合とされる)との戦闘についてのアップデート。

ネットメディアのRapplerによると6月30日時点で、死者数は
政府側(国軍と国家警察).. 82人
テロリストに殺された民間人.. 39人
テロリスト.. 317人
という。これまでに政府やNGOが1713人救出したが、まだ全面解決にはいたっていない。

(英語記事)
http://www.rappler.com/nation/174358-death-toll-marawi-clashes-june-30

ちなみに5月に敷かれたミンダナオ全域の戒厳令は、60日以内という制限つきなので7月22日頃までには解かれないといけないのだが、果たして現政権はルール通りに行うのか、その点も少し気になるところではある。

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