ミンダナオ情勢についての日本語記事

これと言って新しい情報はないのだが、情勢理解のための一応のまとめとして日本語記事を紹介したい。

「特別リポート:アジアに迫るISの魔手、比ミンダナオ島の衝撃」6/10付ロイター、(掲載はYahooニュース)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170610-00000025-reut-asia

「剛腕ドゥテルテでもダメか、イスラム過激派退治」ハフィントンポスト日本語版
http://www.huffingtonpost.jp/naoji-shibata/duterte-mindanao_b_17285312.html

マラウィ危機での6月

22日までの死者は民間人26人、武装勢力側276人、政府側67人

とある。マラウィでの掃討作戦はもう終盤に差し掛かっているはずだが、ラマダンが明けてもまだ終わってはいないようだ。また、リーダーのイスニロン・ハピロンやマウテ兄弟の首をとったという報道もまだ聞かない。

ところで上記ハフィントンポストにも引用されている立教大の石井正子教授は、最近「難民ナウ」というラジオ番組の音声インタビューに登場している。
http://nanmin-now.seesaa.net/article/451143113.html

ここでも特に新しい情報はないのだが、今回の危機に際して日系NGOも支援に駆けつけているというのは他の報道ではあまり聞かない類の情報ではある。

一方、同氏がAsia Peacebuilding Initiativeに寄稿している記事の方はもっと詳しい。

「ドゥテルテ大統領、戒厳令布告の背景」
http://peacebuilding.asia/martial-law2017

今回の件、20万人の市民が丸ごと避難民となるような事態は尋常ではなく、また戦闘や空爆で彼らの住んでいた家もかなり破壊されているはずなので、緊急支援および復興支援が必要なのは間違いない。ドゥテルテとしても腕の見せ所になるはずだが、果たしてうまくやれるだろうか。というか、それ以前に掃討作戦の成果をあげられるかどうか。

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BIFF(バンサモロ・イスラム自由戦士)が北コタバト州の町を襲ったあと同日退散した件

2日前のニュースになるが、BIFF(バンサモロ・イスラム自由戦士)というテロ組織が北コタバト州ピグカワヤン町の学校を占拠し、31人の人質をとって立て籠もったが、国軍による攻撃を受け同日夜までに退散した。人質は学校関係者で、うち12人が子供だった。

この衝突でテロ組織側は4人の死者を出した。

(英語記事)
http://www.rappler.com/nation/173620-biff-hostages-rescue-pigcawayan-north-cotabato-military

BIFF(バンサモロ・イスラム自由戦士)はアブサヤフやマウテグループと近く、主に北コタバト州近辺で活動している。MILFから分かれていった分子により構成され、戦闘員は数百人以上いるとされる。

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アブサヤフに拉致されたベトナム人一名が脱出に成功

ここのところドゥテルテ政権によるテロ対策が派手すぎてニュースもなかなか追いきれないのだが、今日は久々にアブサヤフ拉致問題についてのアップデート記事を取り上げたい。

6月16日に、アブサヤフの拠点のひとつであるバシラン島に捕らわれていたベトナム人船員のうち一名が脱出に成功し、国軍に保護された。拉致されたのは2016年11月なので、実に7カ月もの間人質としてつかまっていたことになる。

(英文記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/06/17/ASG-Vietnamese-hostage-recovered.html

上のCNNの記事では、他に26名の人質がいるとされ、21名はスールー、5名はバシランで、バシランに残されているこの5名はベトナム人の同僚。もっと詳しく言うと、バシランにいるグループはアブサヤフ傘下の”Furudji Indama(フルジ・インダマ)”という名前だそう。

別のニュースによれば、6月17日には爆弾製造担当のメンバーがサンボアンガ市内で逮捕されている(といっても、サンボアンガはフィリピン国内でダバオの次に市域が広大で、現場は町はずれだが)。このメンバーは、インドネシアの過激派テロ組織「ジェマ・イスラミヤ」から爆弾製造の訓練を受けたのだという。

(英語記事)
http://cnnphilippines.com/regional/2017/06/17/aide-aby-sayyaf-leader-isnilon-hapilon-arrest-zamboanga-city.html
http://news.abs-cbn.com/news/06/17/17/close-aide-of-hapilon-arrested-in-zamboanga-city

ここからは私見だが、報道を見ていると、国軍による空爆を含む攻勢によりアブサヤフはかなり弱体化しているように見える。

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マラウィからの避難民、59名以上が病死

先月からミンダナオ島の南ラナオ州マラウィ市に、ISISに忠誠を誓ったマウテグループおよびアブサヤフの武装勢力がたてこもっている事件で、6月15日までに避難民が脱水などを原因に亡くなった。ただし、約22万人と言われる避難民のうち、当局がモニター可能なのは避難センターに入っている2万人のみである。以上から、実際の死者はもっと多いと思われる(単純計算で11倍)。

(英語記事)
http://www.rappler.com/nation/173101-death-toll-marawi-evacuation-center

ちなみにマラウィ市の人口は20万そこそこで、ほぼ全員が避難している計算になる。数日前の報道では、人質にとられている民間人は飢餓に苦しんでおり、カーペットを食べるような状況だという。また、子どもが餓死したのを見た、という脱出者の証言もある。とにかく悲惨な状況なのは間違いない。

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ミンダナオでの爆破事件で300人が亡くなった(2001~2013年)

先週あたりからもう”ISIS”と呼ばれるようになったマウテグループ&アブサヤフによる南ラナオ州マラウィ市占拠事件(マラウィ危機)は3週間経ってもまだ収束していないが、そろそろ時間の問題といえるような状況になってきたそう。ただし一般人が捕らわれたままで餓死した人もできる模様ではある。

さて、今回は特に新しいニュースもないので、ミンダナオでのこれまでのテロについて振り返ってみる。直近で一番の被害者を出したのは2013年のMNLFミスアリ派による「サンボアンガ危機」でたしか民間人が200人近く亡くなったのではと思う。それ以外では同時期に起きた「ママサパノ」での警官44人が亡くなった事件が記憶に新しいが、ただしこれはテロではなく政治家が黒幕だった。

さて、爆破事件に関しては最新ではないものの、2001~2013年のミンダナオでの被害をまとめた英語記事がある。記事中の表を日本語にすると、

地域          事件数      死者数      負傷者
ソクサージェン    25 125 585
ARMM   15 81 349
サンボザンガ半島 10 48 336
ダバオ地方 6 52 315
北ミンダナオ 5 48 190

となる。地域名に私なりの若干の解説をすると、ジェネラルサントス(ジェンサン)等があるのがソクサージェン、ARMMは南ラナオ州などのイスラム自治区、サンボアンガ半島はサンボアンガ市に南北サンボアンガ州も加えたもの、ダバオ地方というのはダバオ市に南北ダバオ州を加えたもの、そして北ミンダナオはアグサンやスリガオ(サーフィンで有名)等があるところだと思われる。

この間、一番狙われていたのはジェネラルサントスだったのだが、実はダバオ市も空港で2002年に大きな爆発があり、さらに数か月後にも空港に隣接する「ササ」というエリアで爆発が起き計38名が亡くなっている。そんなわけで、去年のダバオ市でのテロは初めてということではない。

(英語記事)
http://www.rappler.com/nation/35493-mindanao-bombs-300-killed-12-years

最後に、以上を見るとサンボアンガは他と比べて目立って多いわけではないことがわかるが、これはあくまで爆発事件の話。サンボアンガ周辺では悪質な拉致の事件が後を絶たず、現在でも外国人を含む約30人が人質になっているとされる(本ブログ「アブサヤフが8歳の人質フィリピン人少年を解放」などを参照。

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マラウィ市内のマウテグループ滞在先から7900万ペソの現金が見つかった件

去る月曜日のことになるが、マウテグループ&アブサヤフ掃討作戦が進む南ラナオ州マラウィ市で、マウテグループが根城としていた家から7900万ペソの現金が見つかった。円換算すると1億8000万円から2億円弱ぐらいで、フィリピンで(日本で感じられるよりさらに)巨額なのはもちろん、国内で最も貧しく大した産業のないミンダナオ島ARMMの地域でははるかに価値は大きい。

(英語記事)
http://news.abs-cbn.com/news/06/05/17/p79-m-in-cash-checks-found-in-fallen-maute-stronghold

続いて、去る火曜日にはマウテグループのマウテ兄弟の父親であるカヤモラ・マウテとその一味4名がダバオ市トリル地区シラワンにあるチェックポイントで逮捕された。カヤモラ・マウテは以前MILFのコマンダーだった人物とのこと。彼らが乗っていた車からは45口径ピストル、グレネードがひとつずつ、また現金36万ペソが発見された。

(英語記事)
http://www.cnnphilippines.com/news/…/Father-of-Maute-brothers-arrested-in-Davao-City.html
http://news.abs-cbn.com/news/06/06/17/wanted-maute-clan-chief-arrested-in-davao
http://www.rappler.com/nation/172148-maute-father-arrested-davao-city

一方、マラウィ市での掃討作戦についてはなかなか終結の知らせは届かない。作戦終了まで、もうしばらくかかるのかもしれない。

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ミンダナオのマラウィ危機、死者が175名を超える

先週からこのブログでウォッチしているミンダナオ島南ラナオ州マラウィで起きている掃討作戦について。6月2日の時点で双方の死亡者計が175名になったとABS-CBSニュースが報じた。このうち、テロリスト側は120名。

(英語記事)
http://news.abs-cbn.com/news/06/02/17/marawi-city-siege-death-toll-reaches-175

テロリスト側の死者には外国人も含まれており、判明しているだけでもインドネシア人2名、マレーシア人2名、サウジアラビア人2名、イエメン人1名、チェチェン人1名だという。

政府は6月2日の記者会見でテロリスト側はアブサヤフ&マウテグループではなく、実際はISISだという見方を示した。フィリピンでのISISの活動を認めたということになる。ただ、どちらにせよ母体はアブサヤフ&マウテグループその他だろうから、外国人が多少参加していても主体が変わることはないと俺は思う。

掃討作戦はまだ終わっておらず、一連の事件による被害者はさらに増える見込み。

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