南沙諸島のヒューマニティ王国について

つい先日、ナツコこと金城夏子とほぼ同時期に糸満に生まれ、戦前から沖縄返還後にかけて活躍した実業家「沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子」を読んでいて、気になる記述を発見した。

「沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子」高木凛(2007)

沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子
高木 凛
小学館
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P125

フィリピン沖で嵐に遭い、シンナン諸島のモッカ島まで流されたこともあった。そこは蒋介石にも毛沢東にも属さない中国人が孫文の旗を掲げて独立していた孤島であった。孫文の三民主義を実践し、ある時期「ヒューマニティ王国」と称されていた島である。
そこではラジオと電球が不足していた。敏子は船が修復されるとすぐに立ち返り、ラジオなどの電化製品を積み込んでモッカ島と交易をした。遭難してもただでは生還しない、敏子らしいエピソードである。

1956年のことである。調べてみると、上記「シンナン諸島」というのは「新南群島」で、今の南沙諸島(スプラトリー諸島)であることがわかった。ではこの「ヒューマニティ王国」とはなんなのか。

日本語版に項目のない英語版ウィキペディア
https://en.wikipedia.org/wiki/Republic_of_Morac-Songhrati-Meads

では、ミード船長が作った極小国家であるとされている。では、どの島なんだろうか。

とりあえず先に南沙諸島の島々について知りたいと思い、日本語版ウィキペディアを参照すると、南沙諸島には日本占領下の呼び名で

北二子島、南二子島、西青島、三角島、中小島、亀甲島、南洋島、長島(現在の太平島)、北小島、南小島、飛鳥島、西鳥島、丸島

等があったとされる。今のフィリピンにとって重要なパグアサ島 は日本占領下では中業島、その旧称は三角島だった。主な島の位置関係は、下のウェブサイトを参照。
http://nekonote.jp/korea/old/mil/ww2/namsa-islands.html

「ヒューマニティ王国」はおそらくこのうちのどれかだろう、と推測してひとつひとつwikiで調べてみるも、何も見つからない。そんなとき、ウィキペディア英語版の”Spratly Islands“にようやく、”Meads Island (Itu Aba)”という記述を見つけた。”itu ba”とは、カタカナ表記「イツアバ」で、日本語版の「太平島」によればマレー語で「あれはなんだ」から来ているという。今の”Taiping island(太平島)”で、南沙諸島で一番大きい島で、現在は台湾が実効支配していて「住民」が200人程度いる。ちなみに2016年の国際司法裁判所の判決によれば、南沙諸島にあるのは一番大きいこの太平島でも「島」ではない。

さて、当の”Taiping islandのページには”ミード(mead)”という記述すらない。

いくつかの英語ソースを参照してみると「ヒューマニティ王国」については書かれているが、具体的な記述は見つからない。
http://dustyheaps.blogspot.jp/2014/03/the-curious-tale-of-humanity-islands.html
http://www.istoryadista.net/2012/04/lost-kingdom-of-spratly-islands.html
http://www.angelfire.com/ri/songhrati/history.html
http://www.crwflags.com/fotw/flags/xp-s.html

ただ、代わりに面白いことを見つけた。戦後、南沙諸島でとあるフィリピン人航海士が勝手に自分の国「フリーダムランド」を宣言してしまったというのだ。台湾(中華民国)が実効支配する太平島で、その国旗を抜いてしまい国際問題になったという。ときはマルコス時代だったのだが、このフィリピン人はマルコスから島に関する宣言を取り上げられ、投獄されてしまったのだという。これも南沙諸島の領有問題に関する一コマ。

さて、それにしてもいったい「モッカ島」とはどこなのか。ネット上での捜索もむなしく謎に終わってしまった。

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