続・チャバカノ語研究 ~旧日本軍票~

昨日の続き。ダバオのチャバカノ語について、

Zamboangueño Creole Spanish by John M. Lipski and Salvatore Santoro
Comparative Creole Syntax ppp-pp (2000)

の導入部で、

“Whinnom (1956), who was unable to visit Davao, claimed Davaeño as a separate Chabacano dialect, but contemporary Chabacano speakers in Davao all speak the Zamboanga dialect and consider themselves—often with little factual information at their disposal—as part of the Zamboangueño diaspora.”

少なくとも現代では”castellano akabay”と呼ばれるようなものはない、といっている。ない証明というのは容易にできないとは思うが、まぁどこを探してもないのなら、ないという他ないですね。

しばらくダバオで終戦を迎えた人についての日本語文献を読んでいて、当時の人たちは「チャバカノ語」というのを単に「ブロークンなスペイン語」、もっと詳しく言えば共通言語としてのピジンという意味で使っていたということがよくわかった。その上で上の論文の導入部を読むと、サンボアンガのチャバカノ語がブロークンなスペイン語というイメージに「覆われていた」という意味がよくわかってくる。区別されずにいて、独自の文法と母語話者を持つれっきとしたクレオール言語だということは、20世紀に入って「発見」されなければならなかったわけだ。その歴史自体、興味深い。

さて、次に進もう。

Forman(2001)
Confidence in Chabacano: Counterbalance to a western ideology of language

は、私がしばらく前から疑問に思っていたチャバカノ語の文法上の特性、すなわち他のメジャーなフィリピン諸語と違って受身もしくは目的語フォーカスのシステムがないことについて触れている。システムなしに、単に動作主としての主語を省略することで受身のニュアンスが発生するというのは、不思議。しかし、実際にそうなのだから仕方ない。

日本人に関係している箇所としては、孫引きになるが、Caminsが1999に発行してサンボアンガ市役所で配られていたらしいチャバカノ語入門+辞書には、”jacka”という旧日本軍の軍票を指す単語が載っているらしい。Formanはそれについて、”j”の発音が実際どうだったのか不明だ、といっている。発音はともかく、普通に考えると”J”は日本の”J”だろう。なんとなく、隠語っぽい。

一応、軍票について見てみると、”Japanese”と英語で書いてある。ちなみに、フィリピンで使用されたのは「ほ号」軍票。
http://chigasakiws.web.fc2.com/gunpyou-2.html
http://yakumo1100.blog.fc2.com/blog-entry-391.html

今日はここまでにしておこう。また気が向いたら研究を再開したい。

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