もし音大生がドラッカーの『非営利組織の経営』を読んだら

10年ぐらい前のことだった。某私立音大に通いながら、かといってプロになれる見通しはまったく立たず、その反動からか大学の外でのボランティア活動に明け暮れていた。今と違って企業でのインターンやら海外へのスタディツアーなどは学生のトレンドではなく、そのためか多くの学生がボランティアをしていたと思う。当時は「社会起業」という言葉が出始めるぐらいの時期だった。

俺はひょんなことから在日外国人支援のNPOに参加していたが、団体の課題に対してその活動があまりにも非力だと痛感していた。専従スタッフはおらず全員がボランティアで、やりたいことも何もかも人それぞれだった。それでもかろうじて組織のビジョンみたいなものはあって、古参のボランティアには共有されていた。その中で俺のしたかったことは、もっと「ちゃんと」活動をやりたいということだった。社会的使命のために存在するNPOが趣味のサークルと同じであっていいはずがない、ボランティアであっても課題を解決するために、プロのNGOのようになるべきだ、と考えていた。いつも目の前に受益者がいて、大人だけでなく子どももいた。なんとかしたかった。

それで、NPOの経営について学ぶために、掛け持ちで某NGOでのボランティアを始めた。趣旨としては、今で言うインターンみたいなものだろうか。NGOで働くことに憧れもあったかもしれない。

ドラッカーの著作に出会ったのはその頃だったと思う。たぶん、そのNGOの書棚にあったんじゃないだろうか。それ以来、ブックオフで見つけては何冊も買って読んだ。

10年後、ようやく組織から独り立ちしようとしている自分がここにいる。いつしか自分の組織を作るというのが夢になり、いくつかのベンチャーやらで働きながら、小さい組織の経営についてシミュレーションをしてきたつもりだ。引っ越しを繰り返す中で実家に置きっぱなしにしてきたドラッカー、今度は引っ越しにも同行させよう。

先日、たまたま「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読む機会があって、我が青春のドラッカーをまた読み返したくなった。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
岩崎 夏海
ダイヤモンド社
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「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」岩崎夏海(2009)ダイヤモンド社
(レビュー)
この本はよく知られているのでいちいち解説とかする気はないが、表現上の技法について面白かったので一言。小説なのに意図的に上田惇生の翻訳調を多用しており、ドラッカーを日本語で読んだことがある人なら思わず笑ってしまう。しかし中盤以降からは語り口が徐々に変わり、それに合わせたように主人公たちが感情を出し始めていく。普通の小説らしくクライマックスもちゃんと用意されていて、処女作というわりに随分うまく書けていると思う。ドラッカー入門という本書の出版スタンスを考えると、100点じゃないかと思う。

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