エクアドル経済を語ってみる

もうすぐエクアドルに来て1年。ただの旅行者だったら通過するだけの国、ガラパゴスを除けばせいぜい3日ぐらいしか滞在しないだろうし、山登りの方々は山以外にはやっぱり3日ぐらいしか滞在しないだろうこの国に、1年。しかも、隣国に行く許可はもらえないので、俺にとっては島国状態(ちなみに現地人はフツーに国境を越えられます)。

そういうわけで、ほとんどの日本人はこの国の経済が云々とかいちいち考えないと思うところ、俺はかれこれ一年近くいるし、その間に当地の友人もそれなりにできたし、その上定期預金とかしているし、なんとなく今後の経済の動向は気になるところであります。

さて、中南米はこの傾向が強いらしいのですが、エクアドルの現政権もバラマキ型のポピュリストと呼ばれています。何をしているかというと、まずバラマキの部分では「格差の是正」を掲げて生活保護みたいな感じの給付をしたりというのが典型ですが、それ以外にも関税を高くして国内産業を保護したり、最低賃金を年々上げたりしています(今は手取りで月312ドル、社会保障も入れると380ドルぐらい)。

一番目立つのは公共事業による雇用の創出なんですが、これが目先の経済発展を狙って財政赤字を増やしているのが問題とされています。たとえば先日承認された今年度の予算だと、歳入が250億ドルなのに歳出が300億ドル、かなりの赤です。しかも、エクアドルは貿易収支も赤字なので、双子の赤字です。

次にポピュリストの部分では、たとえば石油会社の国有化やら外資企業を追い出すようなことをやってみせたり、それから反米を掲げて強気なことをやっています。最も最近では、7月でアメリカの特恵関税の制度が終わりましたが、元CIAのスノーデンの絡みもありこの更新を「ゆすりに使っている」として交渉すらしませんでした。とはいえ、下の記事によると2012年のアメリカ向けの輸出は60億ドルだったらしいから、これが大幅に減ると痛い目を見るのは自分なのでは、と思えてなりません。実際にはどのぐらい打撃を受けるんでしょうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM27017_X20C13A6EB1000/

今のエクアドルはアメリカはもちろん、アメリカの息がかかっているとしているIMFと世銀、米州開発銀行からも融資を受けようとしないそうで、そうすると融資する先って中国と、あとはベネズエラらへんしか残っていない感じです。実際には中国べったりに見えます。大型の公共事業はほとんど中国が融資しているんじゃないでしょうか。

貿易赤字を食い止めるためには輸入を減らすか輸出を伸ばすかしかないです。輸出では、石油の精製能力を増やすためにパシフィコ製油所(120億ドルのプロジェクト)を作っているところだが、これも合弁相手はベネズエラと中国。エクアドル国民は身近にいる中国人移民しか印象にないので偉そうに「チノ、チノ」言っていますが、実際のところエクアドル経済は既に中国さま様です。

財政赤字の方は、まずエクアドルは海外向けに国債を発行できません。というのも、現政権の過去の実績等(グローバル債を支払い能力があるのにデフォルトにした)によって、格付けが低すぎるから。そして債務の方も、既に目一杯借りている状態。

日本の一部の学者は、状況いかんによっては、今後エクアドルがドル通貨を辞めて再び自国通貨に戻る可能性を指摘しているけれども、俺はそんなことできるはずがないと思っています。ドル化したのは既にそうなりかかっていたのを追認しただけだったけれども、これから自国通貨に切り替えるなんてどこの国もやったことないし、そんなのやってまたハイパーインフレのリスクを背負い込むなんて馬鹿げていると思う。

ま、とりあえ現在は内需拡大型の政策によって順調に経済が回っているように見えるので、エクアドルの一般人は誰も先行きを心配しているようには見えないです。だからこそポピュリスト型政治というんでしょうが。そもそもメディアはそういう問題提起をしたりするようにはできていないっぽいのですが、その上大学も権力追従型だとすると、そうなるとオピニオンリーダーが不在というわけでしょうか。

自分の回りのエクアドル人がそういう話を一切しないのが不気味です。単に、暗い話を一外国人である俺にしないだけなのでしょうか。。

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エクアドル経済を語ってみる」への7件のフィードバック

  1. こんにちは。興味深いお話、ありがとうございます。

    エクアドルの政治経済については、過去20年くらいの流れでみないと、エクアドル人の心情が理解できないかもしれません。連続して3代の大統領が任期途中で亡命、政治経済をガタガタにしてきたので、80%くらいの一般市民の視点で過去と比較すれば現状は天国に近いはずです。
    もっとも、金持ちや資本家はここで書かれたような不安をもってるようです。

    メディアによる政権批判は禁止っぽいですね。
    http://sankei.jp.msn.com/world/news/130617/amr13061719450007-n1.htm

    コレア政権はあと4年で終るはずなので(コレアが憲法改正しなければ)、その後にかなりの酷い状況が待っているのではないかと思います。
    エクアドル移住を考えている身としては、ちょっと不安です。

    ところで、どちらにお住まいですか。キト?
    何か在ればご連絡ください。

  2. コメントありがとうございます。移住を考えているような方からすると一面だけを捉えた幼稚な見方と思いますが、最後まで読んで頂きありがとうございました。私はキトに住んでいて、比較的豊かなエクアドルしか見ていないので、全体像は見えませんし、視点もあくまで一時滞在の外部者です。

    現大統領の登板は国際原油価格の高止まりと重なっているので、彼の実績とそうでない部分と見分けにくいところもありますが、もし在任中にその価格が下がってくれば(シェールガスの影響とかで)どうなるんだろう、と思ってしまいます。

    エクアドルの日本人社会は狭い世界なので、そのうちどこかでお会いしそうな気がします、その節はよろしくお願いします!

    • こんにちは。

      新鮮な視点での考察、参考になります。

      当地での仕事探しが進まず、まだ日本におります。
      連日の猛暑の中、「Primavera eterna」に想いをはせる日々です。

      いつまで滞在予定ですか?

      • あと一年はいる予定です。

        こちらで就職となると、厳しそうですね。。日系企業や現地在住日本人の起こした企業、または日本の政府系機関ぐらいでしょうか。
        かといって独立するのも容易ではないでしょうし。隣国の方が経済が大きいので機会が多そうに見えます。
        どちらにせよ、こういう国ではコネがものをいうのでしょうね。

  3. コネとカネですかね。

    田舎に知り合いがいるので、その土地でレストランでもひらこうと動いたのですが、
    なにせ田舎で儲からなさそうなので諦めました。
    キトで日本レストランか貿易でもやればいいのかもしれませんが、
    なにせ知人がいないので難しいですね。

    • とりあえず滞在しながらリサーチするというのもいいんじゃないでしょうか。コネ作りも兼ねて。
      差し支えなければ、そこまでしてエクアドルという理由というか、エクアドルのここが最高!というのを教えていただければ嬉しいです。

  4. さすがに公開で書くのははばかれるので、
    メアドにメールを送って頂ければ。

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