フランス手話系

今日は手話研究の話。

エクアドル手話を習い始めてから2週間。これまでのところ、アメリカ手話と相当似ているように思われます。疑問詞なんか全部一緒だったりして。ということはエクアドル手話もフランス手話系ということで理解してよいのかな、と思う。

フランス手話系の手話について調べてみるに、ウィキペディアに記事がありました。英語記事ですが。
http://en.wikipedia.org/wiki/French_Sign_Language_family

けっこういっぱいありますね。アメリカの宗教系団体の影響なんだろうか。

さて、このリストの中で俺的に見過ごせないのがフィリピン手話に関する記述。
「Philippine SL (1806?) (frequently attributed to American SL)」と記載してあります。

これってどういうことなんでしょうか。フィリピンは、これまで調べたところ、英語対応手話とフィリピン手話のふたつが拮抗しているようなんですが、そもそもフィリピン手話の存在が主張され始めたのが90年代ということなので、このリスト(Wittmann (1991))は、フィリピン手話を認知していない可能性が考えられます。

フィリピン手話は、今年になってかなり強力にアピールされているようで、というのも今年始まった新しい義務教育カリキュラム(=K-12)で、8大言語(もちろんチャバカノ語も含まれる)と並んで、ろう者にはフィリピン手話を母語として教えるように定められたらしいからだ。

ネットのニュースによると、現在「フィリピンにおける聾者の手話としてフィリピン手話を宣言することを要求するHB6079」法案を下院議員提出で推しているらしい。これも上記の流れなんだろう。

というのも、フィリピンにおいて英語対応手話のプレゼンスが強まってきているからだろう。なんでも、(数少ない)手話で教育する教育機関の教師が、英語対応手話の教育を受けているというのがその理由だそうだ。俺が習いに行ったマニラのPRIDも英語対応手話で、その他にもボホールのBohol Deaf Academyも英語対応手話だと聞いた。フィリピンでは自身がろう者の教師というのはほとんどいないそうで、それがフィリピン手話を使う教師を養成できていない理由のよう。

以上なわけで、ここらで国策としてフィリピン手話を保護しないと、決定的に劣勢になってしまう可能性がある。だからいわゆるフィリピン手話のナショナリズムが台頭している、という感じだろうか。

だが一方で、フィリピンのろう者はどのみち書記言語としては英語を使っているので、手話も英語対応手話もしくはアメリカ手話の方が互換性が高くていいんじゃないか、という説もある。加えてアメリカの支援が得られやすい(国際協力やギャローデット大学への留学などで)という面でも、今からフィリピン手話をわざわざ推進する必要があるのか、という批判はまっとうである。とりわけ、ろう者がインターネット等を利用することを考えると、アメリカ発の資源を利用できるようにした方が教育的にはよいと俺は思う。そんなわけで、フィリピン手話をめぐる政治は非常に興味深いことになっています。これからも研究していきます。

翌日追記:下のリンクの中の某論文によれば、FSLとASLは60%ぐらい同じで、差異は方言レベルだそうです。となればなおさら、かなりの程度政治的な問題ですね。

文献
日本語
http://aasl.aacore.jp/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%94%E3%83%B3%E6%89%8B%E8%A9%B1

英語
http://aasl.aacore.jp/wiki/Philippine_Sign_Language

FSLのサンプルはこちら。
http://filsign.com/

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