「ろう文化」案内

マイノリティの世界には通じるものがある。黒人にしろ、外国にルーツのある子どもにしろ、「障がい者」にしろ。

『「ろう文化」案内』キャロル・パッデン、トム・ハンフリーズ(2003)
(原題:Deaf in America: voices from a culture)

本書はアメリカのろう者の生活世界というか、精神世界を内側から描いた秀作。論文ではないし、字も大きくて読みやすい。

ここでは、ろう者は(健常者に備わっている能力が欠落した者という意味での)障がい者ではなく、手話という豊かな言語を持つマイノリティとして描かれる。彼らから見れば、アメリカに住んでいるのにアメリカ手話のできない者は、逆に言語能力が低いと見ることができるのである。

こういうあべこべな世界を、SFでもなく地でいっているのが非常に興味深い。ここから学ぶべき点は非常に多い。

さらに、本書の「ろう者」を外国にルーツを持つ子どもに置き換えてみると、驚くほどにピタッとはまる。なぜに母語や継承語である言葉が周囲に評価されず、特に極端なケースでは公共の場所での使用を禁じられなければならないのか。彼らの言葉を奪い、支配者の言語を植えつけることに何の正当性があると言えるのか、深く考えさせられる。

ろう者と手話の歴史は、これから多文化教育を学ぶなら、必ずおさえておきたいトピックに間違いない。俺もまた手話を習いたいなー。

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「ろう文化」案内」への2件のフィードバック

  1. 「日本手話とろう文化」って本も面白かったよ。注意しなくちゃいけないのは、街場で教えられてる手話は「日本語対応手話」が多く、「ろう文化」の文脈で語られる「日本手話」とは別物とのこと。よくわかんないのですが、・・・

  2. アメリカ手話にもそういうのがあります、というかあると聞いています。その類の干渉は、音声言語を教えるための道具として教師が手話を利用としたからに他なりません。日本手話にもまあ興味ありますが、社会福祉協議会の手話講座は来年度にならないと申し込みができないとのこと。3年後ぐらいに始めたいと思います。ところで、帰国してからまだお会いしてないですねー。近いうちにぜひ。

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