リナックスの革命

この本を読んで、俺も自分のプライベート名刺を作るとしたら肩書きに「ライフハッカー」とでも書きたくなった。

「リナックスの革命 ハッカー倫理とネット社会の精神」ペッカ・ヒマネン(2001)
(原題:The Hacker Ethic)

俺も一応いろいろな本を読むけど、インターネット関連の本で10年前の本を読むことはそうそうない。ご存知の通り変化が相当速い業界なので、古い本を読んでもしょうがないからだ。

ただし、本書はインターネットの本というよりは、倫理の本である。書いたのは当時28歳の哲学者。「ハッカー」という、日本では犯罪者として知られる固有名詞をタイトルにして新しい生き方と社会について力説する、とても面白い本だった。

邦訳は「リナックス」という単語もついているが、これは編集者が勝手につけたものに違いない。なぜなら、本書の内容はリナックスと直接関係ない。リナックスは、ここではハッカー的世界のシンボルに過ぎない。

ところで、日本語で一般に使われているのとは違って、実は「ハッカー」は、犯罪者ではない。不正にコンピュータに侵入する人は「クラッカー」であって、いわゆるハッカーとは区別されるからだ。では、ハッカーとは何か。それは、新しいものを創りだすことに夢中になる人のことである。

人生で大事なのは、お金じゃない。まず夢中になれることを持つこと。そして、それを通じてコミュニティや社会に貢献すること。成果をオープンソースで公開していく姿勢は、著作権で富を囲い込もうとする企業のやり方とは一線を画している。 

なので、コンピュータに夢中になっているハッカーは、実は社会性のある人だと筆者は論じる。ハッカーは、単に2ちゃんねるを見て笑っているだけの人のことではない。それだと、テレビを見ている人と同じ受動的な態度だから。研究を重ねながら積極的にコミュニティに参加していく人を、ここではハッカーと呼んでいると俺は理解した。

知識や富を囲い込まない姿勢は、まさにイリイチのラーニングウェブの世界観と共通している。なので、もちろん新しい学習理論とも整合性がある。ハッカー倫理の本は、新しい教育学にも通じるものがある。しかし、これが理解できる人はまだまだ少ないようだ。そもそも、普通にパソコンができる教育者なんてほとんどいないみたいだから。

本書が出てから10年経った今、教育においては結局根本がなにも変わっていないことを知ってただ驚くばかりだ。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中