入門・アメリカの司法制度

土曜日はお勉強の日。スペイン語もだけど、あと5カ月は法律も勉強します。試験には間に合わない可能性が高くなってきていますが。。そろそろ行政法やらなきゃ。。

とかいいつつ、まだ法律の全体像をつかむ作業を続けています。そんな中で読んだのがこれ。

「入門・アメリカの司法制度 陪審制度の理解のために」丸山徹(2007)現代人文社

感想ですが、良書です。
出版された時期が時期だけに、タイトルが「陪審制度の理解のために」となっていますが、以下のあとがきを読めば、出版社の編集担当の人が売れるように書名を細工したことは一目瞭然です。

概要もわかるので、以下にあとがきをほぼ転載。

私は今後の司法制度改革の過程で21世紀半ばまでに日本で以下に挙げたことが現実化すると予測している。
 刑事訴訟の分野では司法取引が広範に認められ、大型の贈収賄事件や組織犯罪の摘発を用意にするため刑事免責制が導入される。自白強要、誘導尋問による冤罪を防止するため警察が重罪で逮捕された被害者を取り調べる際、尋問の内容が録音、ないしビデオやDVDに撮影され、必要な場合、法廷に証拠を提出されるようになる。警察の被疑者取り調べに弁護士の立会を認めることについても、広範な議論が巻き起こる。重罪の裁判では、公判前整理手続きが頻繁に行われ、迅速な裁判が定着する。
 殺人罪の時効が廃止され、刑罰の一形態として、無期懲役よりも重い「終身刑」が導入される。それと並行して、死刑廃止論議が高まり、「仮釈放なしの終身刑」の導入とともに、究極的に死刑は廃止され、並行して尊厳死、安楽死の法制化が進む。犯罪の低年齢化、凶悪化が進み、少年法がさらに改正され、14歳以上の少年の重罪については原則として成人と同じ刑事手続がとられるようになる。銃、火器を使う犯罪が多発し、安価な麻薬が街にあふれ、児童を含むあらゆる階層への浸透が一層進み、「銃と麻薬」が、深刻な社会問題として浮上、その抜本的解決が焦眉の急になる。
 有期刑の長期化がさらに進み、刑務所が増設され、一部が民営化される。裁判所にTVカメラが常設され、国民の感心が高い裁判の抜粋が、法廷を専門に扱うケーブルテレビによって放映される。民事訴訟の分野では訴訟件数が飛躍的に増加し、懲罰的賠償の概念が導入され、損害賠償も高額化、クラス・アクションが急増する。
 本書を読んだ読者には、その理由がわかると思う。死刑廃止を除いて、これらはすべて、米国が既に採用している制度であり、米国で現実となっている現象である。日本社会のさらなる米国化が、これらの変化をもたらすのである。
 日本の法体系は、明治時代に西欧近代、主としてドイツから直輸入した大陸法に、戦後、英米法を継ぎ接ぎした二重折衷の体系であることが、この本を書いてわかった。「民主化」された戦後の日本の刑事訴訟法は、米国法に範をとり、コモン・ローの良質な部分を刻印しているが、実態としては、その中途半端なコピーであった。戦後50年を越え、日本は、あらためてコモン・ローを基盤とする米国の司法システムにより多くを学び、そこに司法制度改革の軸足を据えることに決めた。

 日本がそれほど期待を寄せる米国の司法システムとは一体何なのか。そんな素朴な疑問から出発し、その全貌を自分なりに描いてみたいと思って本書を書いた。 後略〜

半分は当たっていて、半分は間違がっているのだろう。日本社会は、上記のようにはならない。今のメンタリティが続く限り訴訟は増えないし、プライバシーの考え方もアメリカとはずいぶん違うので、裁判所の中をテレビ中継するようにはなりっこない(日本では、ちょっと前に、傍聴人が個人的備忘録のためにメモをとれるようになった程度)。

でも、やはり日本の法制度を理解する上でアメリカ司法を理解するのは重要だと思う。ついでにいうと、アメリカ社会とか、広く世界のことを理解する上でも役に立つだろう。というわけで、オススメです。

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