フィリピンで手話を学んでみたい

空いている時間は既にほとんど習い事で埋め尽くしてしまっているのだけれど、まだまだやりたいことがいっぱいある。日常に変化をつけたい、という動機が強く働いている。

というのも、新しくなにかを始めて、非日常だった活動がルーティン化してくると、それもまた日常の一部と化してしまうからだ。この感覚は、「飽きる」とはちょっと違う、どちらかといえば「焦り」に近いかもしれない。自分の中で活動をモニターしている自分(エゴグラム的に言うところの「教師」としての自分)が、何かをやりながら同時に何かをやっていない自分に対して「このままじゃまずいな」というメッセージを発している。

20代を途上国の現地採用として過ごす、というのは一般的にはイージーな生き方の選択、と受け取られがちと思う。実際、そういう風に暮している人が多そうだし。しかし、日本や他の先進国で働いていないマイナス以上に得るものがあれば、途上国の現地採用も立派な選択に成り得ると思う。というか、そうなるようにしたい。駐在とも違う現地採用ならではの生活世界と情報網を確立する、それが俺のモットー。

と、そんな主義を掲げながら、では「現地採用としてフィリピンで暮らす」という選択の持つ比較優位を、満足いくほど見つけきれているんだろうか、というのが根本的な問い。とにかく足で稼がないと、いろんな情報、人脈にアクセスできないから、(日本人が)誰も行かないところや分野にわけ入って、自分だけの財産としての情報とネットワークを作っていく必要がある。

というのを背景に、今回調べているのは「フィリピンの手話」。少数言語とマイノリティに興味のある俺にはぴったりと思う。 少数言語としての手話の存在は知っていたけど、日本では手話を習おうなんて全然思わなかった。言語としての手話に関心があっても、それを使っている人の文化に興味を持たなかったからだと思う。ところが、ここでは状況はちょっと違う。フィリピンの手話者の生活世界ってどんななんだろう、と興味を持った。

そもそも手話というのはある程度以上の聴覚障害者を中心として使われている視覚言語で、この言語の特徴はなんといっても、家庭の中で獲得されていくものではない、という点。なぜなら、聴覚障害者の親(両親が聴覚障害者であることは稀)が手話を使えないから。親は、「ろう文化」の内側の当事者にはなれない。

家庭内で自然発生的に使われる「ホームサイン」は、その家族の中だけで通じる特殊な暗号であって、手話とまでは言えないらしい。なので、手話は聴覚障害者が集まる場所で、基本的には確立されたものを教わって習得するもの。音声言語の獲得とはずいぶん違う。

そしてもうひとつ、手話話者の特徴として、少なくともバイリンガル以上である、ということ。手話は筆記言語を持たないので、全然別の言葉である筆記言語としての日本語であったり英語を学ばなければならない。手話は音声言語と違う独自の発生の仕方をしているので、例えば「日本語」と「日本手話」の文法は基本的に関係がないと言われている。同様に、「英語」と「アメリカ手話」も関係がない。

以上を踏まえて多言語国家のフィリピンを見ると、非常におもしろい。聞くところによれば、フィリピンでは「フィリピン手話」もあるが、若い人の間ではアメリカ手話が主流とのこと。筆記言語としても、英語が主流(というのも、タガログ語は日本語の方言に似ていて、会話用の言語として生き残っているので、出版物が非常に少ない。)だという。ということは言語的にはアメリカなのだが、だが家族もフィリピン人だし、生活しているのもフィリピン。独自の「ろう文化」と、彼らを取り巻く生活世界が発達しているに違いない。

非常に興味深いトピックなので、俺もフィリピンにいる間にぜひアメリカ手話を勉強してみたい。ちなみに、アメリカ手話は国際手話と同等かそれ以上にグローバルな言語なんだそうです。日本に帰ったり、他の国に行ったとしてもそれなりに使えるんじゃないかと思う。使える、ということは忘れないために非常に大事。

こんな風に、障害者の世界というのは見方によっては魅力的な異文化になり得る。ということはダイバーシティ(多様性)を大切にする多文化教育の一部になるはず。これこそまさに、俺の進むべき方向性じゃないかと思うわけです。

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